インタビュー

〈京大知伝〉「勝つことのできる投手」へ 法学部3年 水江日々生(みずえひびき)さん

2022.12.01

〈京大知伝〉「勝つことのできる投手」へ 法学部3年 水江日々生(みずえひびき)さん

10月19日 近大戦で力投する水江投手=南港中央球場

身長172㌢、体重76㌔、最速は140㌔。決して野球選手として恵まれた体格ではないものの、巧みなコントロールと決め球を武器にリーグの猛者たちを鮮やかに料理する。秋季リーグではチームの累計投球回のうち約1/3を投げ、防御率2・59を記録。所属する硬式野球部では来シーズンからキャプテンも務める。

洛星中・高では中心選手として活躍し、センバツ出場まであと一歩に迫った。「いいキャッチャーに助けられた。キャッチャーのサインに従って勝てた試合が多いが、配球を任せる分コントロールだけは武器にしようと考えた」と謙虚に語る。

洛星高校から京大野球部に進んだ新実彰平(にいみしょうへい)氏に刺激を受け、京大を志した。新見氏は2011年にリーグ首位打者を獲得し、現在は関西テレビアナウンサーとして活躍している。

武器であるカットボール(打者の手元で変化する変化球)は入学後に習得した。野球から離れた浪人期間を経て、ストレートがカット気味に変化したのがきっかけだ。当初は困惑し、矯正しようと試みたが近田監督らが「これは使える」とアドバイス。今では、佐藤輝明(さとうてるあき)(現阪神タイガース。近大OB)ら強打者を抑える大きな武器になっている。

リーグ戦には1回生秋から登板したが、特に印象的なのは通算4試合目の登板となった関学戦。黒原拓未(くろはらたくみ)(現広島東洋カープ)と投げ合うも完封負けを喫した。自分と同じく小柄ながらも、150㌔近い速球を投げ込み続ける左腕の姿に「どうやって勝つねん」と衝撃を受けた。

1学年先輩で、来季からプロになる水口創太(みなくちそうた)(医4)も刺激的な存在だった。「体格、バネ、やわらかさ——自分にないものをもっている。こんな投手がいるのに自分が登板していいのか」と当初は困惑したが、タイプの違う2人の継投はやがて京大野球部の大きな武器となり、大金星を挙げてきた。

体格も技術も、多くの部員が「荒削り」な状態で門を叩く京大野球部。「だからこそ、4年間を通して、選手が、チームが大きく成長する。これは多くの選手が完成された状態で入部する(同じリーグの)私学にはない魅力。そこを見てほしい」と静かに語る。

「まだまだ野球はうまくなる」。この思いを胸に、目指すのは計算のつく、安定したピッチャー。「具体的な数字よりも、チームが掲げる優勝の目標に向かって、勝つことのできる投手を目指す」。右投右打。投手。(爽)

水江投手。後ろがホームの吉田グラウンド

水江投手。後ろがホームの吉田グラウンド

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