ニュース

情報学研 最短手順で停電復旧 遠隔地からの融通も

2022.12.01

情報学研 最短手順で停電復旧 遠隔地からの融通も

多段融通の概念(プレスリリースより)

東北大、京大、中部大、株式会社明電舎からなる研究チームは、11月7日、停電復旧の最短手順を算出するアルゴリズムを開発したと発表した。隣接する電力供給源の余力に加えて、離れた供給源の余力を活用する「多段融通」が必要な規模の停電でも、最短の切り替え手順を算出し、復旧を実行できる。事故時の自動復旧、電気系統混雑の解消、設備容量の削減など、より広域な配電運用への活用が期待される。

本研究のアルゴリズムは、停電復旧に多段融通が必要か否かを判定した上で、その要否にかかわらず、復旧に必要な最小の切替回数を算出する。はじめに多段融通の使用を判定することで、迅速かつ周囲への影響が少ない停電復旧が可能になるという。

アルゴリズムの開発には、主に2つの技術が活用されている。「組合せ遷移」が停電の起きていない区間への電力供給を維持し、「ゼロサプレス型二分決定グラフ」と呼ばれるデータ構造により、電力の供給経路を決める開閉器のスイッチ構成を保持できる。

既存のアルゴリズム理論は、停電復旧が可能な経路を割り出すのみで、開閉器の切り替え手順の最短性は保証されなかった。また、多段融通を要しない、もしくは多段融通の適用範囲を限定した場合のみに用いられていた。

本アルゴリズムにより、多段融通の必要性および切替手順の最短性が理論保証され、数理的エビデンスを伴った停電復旧が可能となる。復旧手順を事後検討する支援ツールとしても活用が期待できるという。京大からは、情報学研究科の​​川原純准教授が参加した。

関連記事