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来春の証人尋問で結審へ 吉田寮訴訟 第15回弁論

2022.11.16

京大当局が吉田寮現棟の明け渡しを求めて寮生を提訴した問題で、11月2日、第15回口頭弁論が京都地裁で開かれた。次回と次々回に行われる証人尋問にむけ、詳細事項を決定した。来年3月の尋問を終えて、審理が終結する。

裁判では証人尋問に向け、尋問の時間や、被告側の証人が陳述を行う順番について調整し、合意した。傍聴には多くの人が訪れ、88席ある傍聴席がほぼ満席となった。

初回の尋問は2023年2月27日11時から開かれる。原告側の証人、尾田直之(おだなおゆき)氏による30分の主尋問と、被告側による30分の反対尋問の後、被告側の木村大治(きむらだいじ)元教授と寮生2名による陳述がある。尾田氏は提訴に向けた手続き執行当時の厚生課職員で、木村氏は寮関連の学内委員を務めた。二回目の尋問は3月27日11時から。先に被告側の証人が40分の主尋問を行い、それに対する原告の反対尋問の時間が40分設けられる。そのあと、寮生4名の陳述がある予定だ。

寮自治会 裁判終了後にシンポ開催


裁判終了後、寮自治会は人環研究科棟の地下でシンポジウム「開け、大学! みんな集まれ! 〜判決近し、吉田寮はどこへ〜」を開催した。寮生や元寮生、吉田寮食堂の利用者だけでなく、廃寮が取り沙汰される金沢大の泉学寮(せんがくりょう)生や、当局による寮費の値上げ問題が起きている一橋大から、中和寮(ちゅうわりょう)の寮生が登壇。低廉な賃料で住居を提供する学生寮の福利厚生施設としての重要性や、学生自治寮の教育的な意義について訴えた。

被告側の仲弁護士は、シンポジウム内で訴訟の状況を説明。証人尋問での陳述内容や順番について述べた。弁護士は、証人尋問では原告側の証人が、大学の建物を寮生が共同で不法占有していると主張すると考えられるとした。対する被告側は、京大が寮自治会と過去に結んだ確約の内容を無視していることや、これまでの大学との交渉内容などを理由に、退寮通告が無効であると主張する予定。民事訴訟では審理終了後に和解が成立することも多いが「和解に至ることは難しい」との見解を示した。また、先月26日には裁判の進行協議を吉田寮で行い、裁判官3名、京大職員、原告側の弁護士が現棟などを視察したと報告した。

さらに寮生から、大学が居住と並行での修繕を拒否している現棟について、屋根などに最低限の修繕を施したと報告があった。寮自治会によると、シンポジウムの参加者は100人を超えたという。

訴訟は19年4月から続く。大学と寮との間の確約の扱いや、現棟の老朽化の度合いが争点となる。証人尋問のあと審理が終結。和解に至らない場合、来年春ごろに判決が出る見通し。

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