文化

時代と共にあった創立記念の足跡 「京大の周年記念行事―史料でたどるお祝いの歴史―」展

2022.10.16

時代と共にあった創立記念の足跡 「京大の周年記念行事―史料でたどるお祝いの歴史―」展

展示されている『学報』。多様な催しがずらりと並ぶ

10月5日から、百周年時計台記念館1階の歴史展示室で、「京大の周年記念行事―史料でたどるお祝いの歴史―」展が開催されている。京大創立125周年記念事業のひとつとして大学文書館が実施しているもので、過去に京大が行った5つの周年事業の内容とその時代背景を追う。

京大が創立されたのは1897年6月18日である。10周年の記念事業は、東京帝大に競合する大学の必要性から設立された京都帝大にとって、教育や研究の成果を学外に示す意味合いを持っていたという。講演会や学内施設の一般公開を行ったほか、25周年では教職員や学生の交流の場として楽友会館を建設した。

次の50周年事業は戦後間もない1947年だ。10月に農学部グラウンドで実施した記念祝典では、占領軍のウッドラフ少将が祝辞を述べた。また、同月25日から31日までを「創立50周年記念祝典週間」に設定。大学の事務局が発行していた『学報』には、期間中に実施する行事の一覧が掲載されている。各学部の講演会に加えて音楽部や叡風会の演奏会、映画部の国際映画コンクールといった学生団体の催しも多く、内容の多彩さが興味深い。

1967年の70周年事業では、1943年以来2回目となる沿革史『京都大学七十年史』を編纂したほか、総合体育館及び2010年に閉館した京大会館を建設した。雨天時に体育の実技授業を実施する場所を確保するためだ。なお、60年代末は大学紛争の拡大期だった。展示されている新聞記事は、記念事業が「学生や職員を除外している」として同学会が撤回を求めたと報じている。

100周年事業は、バブル崩壊による不況の影響を受けつつ、1997年から4年間にわたって実施された。『京都大学百年史』や写真集を刊行したほか、テレホンカードや切手といったさまざまな記念品を作成している。時計台の改修も事業の一環で、法経第一教室を百周年記念ホールへ改築、交流室や歴史展示室などを新たに設置した。

創立の節目を祝う事業は時勢の影響を受けながら実行され、その事績の中には今の学生生活に引き継がれているものもある。コロナ禍の中で迎えた125周年を、これまでの事業の流れの中で捉えてみるのもおもしろい。会期は12月4日までで、観覧料は無料。10月23日、11月7日が休室となるため注意されたい。(凡)

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