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吉田寮 屋根を自力補修へ 大学、修繕拒否し退去求める

2022.09.16

京大当局が吉田寮生に現棟からの退去を求めている問題で、寮自治会は9月6日、4年前の台風で損傷した現棟の屋根について、自治会として費用を負担して補修すると発表した。修繕を求める要望書を総長ら宛に提出していたが、大学は「補修を行うことはない」と回答したうえで「耐震性能を欠く危険な状態」と指摘し、改めて退去を求めた。自治会は同日付で抗議声明を出し、「維持管理の責任を放棄している」と大学を批判した。

18年9月初旬に台風21号の影響で屋根瓦が欠損し、大学はブルーシートで応急措置を施した。寮自治会が現棟の老朽化対策に向けた交渉を求めるなか、大学は前年に通告した退去期限にあたる18年9月末以降、寮からの複数回にわたる修繕要求を拒否。シートの劣化で雨が吹き付ける状態となった。自治会は今年8月5日、交渉の再開と維持管理のための修繕を求める要望書を提出し、応じない場合は自力補修する旨を付言した。これに対し大学は9月1日にメールで、「再度シートの設置を考慮する」としたうえで修繕を拒み、「許可なく補修は認めない」と告げた。交渉再開には言及しておらず、自治会は「問題を生んでいる原因は話し合いの白紙化にある」と指摘して返答を改めて求めた。

自治会は補修費用を100万強と見積もり、公式サイトで寄付を呼びかけている。

明渡請求訴訟 第14回弁論


現棟をめぐっては、京大当局が寮生を相手に明け渡し請求訴訟を起こし、8月10日に第14回口頭弁論が京都地裁で開かれた。被告・寮生側が求めていた裁判官による現棟の視察を10月末に行うことで一致した。

訴訟は19年4月から続く。老朽化の度合いや寮と大学との確約の扱いなどをめぐって双方の主張がすでに出揃っており、証人尋問を経て結審へ到る。

被告は証人の候補として、▼寮関連の学内委員を務めた木村大治名誉教授▼提訴に向けた手続き執行当時の厚生課職員▼被告寮生6名を申請した。人数や時間を調整し、年明けに尋問する見通しだという。

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