医学研 ヒトの皮膚 夜間に免疫活性化 体内時計と連動(2022.07.01)

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京大医学研究科・辻花光次郎博士課程学生、岡村均研究員らと東京都医学総合研究所・種子島幸祐主席研究員らの共同研究グループは6月10日、皮膚の免疫を発動させるタンパク質CXCL14が「体内時計」に沿って作用することを明らかにした。ヒトでは夜間に活性化して病原体から体を防御しているという。CXCL14は腸管や脳内でも作用しており、免疫の仕組みのさらなる解明が期待される。

地球上の生物には、「概日リズム」と呼ばれる24時間周期で繰りかえすリズムが存在し、代謝や免疫などの生理的な働きに影響することが判明していた。しかし、病原体の侵入を防ぐ皮膚の免疫の仕組みと概日リズムの関係性は解明が進んでいなかった。

今回の研究は、異なる研究を行っていた2グループが導いたものである。概日リズムの分子的なメカニズムを研究する京大のグループは、時間ごとにマウスの表皮組織を切り出すことで、ケモカインの一つであるタンパク質「CXCL14」が生体リズムに沿って発現することを発見していた。一方、東京都医学総合研究所のグループは、幹細胞でのケモカインの働きを研究しており、CXCL14が樹状細胞の一部を活性化することを突き止めていた。

共同研究グループはCXCL14の働きを解明するため、マウスを皮膚感染症の原因菌である黄色ブドウ球菌に感染させた。結果、正常な夜行性マウスの皮膚では、CXCL14の発現が高い昼の間は菌の増殖が抑えられた一方、発現の低い夜は菌の増殖が盛んだった。次にヒトと同じ昼行性の霊長類、コモンマーモセットでも同様の研究を行ったところ、CXCL14の発現が昼は低く夜は高いことが分かった。以上のことから研究グループは、ヒトでは夜間に強く発現したCXCL14が皮膚に侵入した細菌のDNAと結合し、樹状細胞に取り込まれることで自然免疫を活性化していると結論付けた。

以前は、CXCL14などのCXC型ケモカインは様々な細胞機能に寄与するとされていた。今回の研究は、CXCL14が分布する皮膚表皮以外の器官でも、菌が上皮を通って粘膜など身体の表層に入るのを防いでいる可能性を示唆している。また、生体リズムを活用してCXCL14の発現を高めることで、感染防御の作用を高めることが期待される。

今回の研究成果は、6月15日に米国の国際学術誌「PNAS米国科学アカデミー紀要」にオンライン掲載された。


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