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市、行政指導の文書開示拒む 立て看板訴訟 第4回弁論

2022.06.01

大学周辺の立て看板の規制をめぐり、京大の職員組合が京都市と京大を提訴した問題で、5月13日、第4回口頭弁論が京都地裁で開かれた。屋外広告物条例に基づき、市が京大に行った行政指導の文書について、市は組合の開示請求に応じない意向を示した。次回の弁論は7月12日14時から行われる。

組合は前回の弁論で、行政指導の内容について「具体的な説明がなかった」と主張していた。これに対し京大は「事実に反する」とし、市は「答弁書で既に示した」として、開示する必要性は認められないと答えた。組合は準備書面の中で、答弁書の言及は抽象的だとして再度市と京大に開示を求めたが、両被告は弁論で拒む旨を述べた。

市はさらに、広告物の合計面積を制限するうえで、本部構内を一区画とみなすのは過大な制約だとした組合の主張に対し、構内の通路は敷地を区切る「道路」にあたらないため区画を分割できないと反論した。また、学生の立て看板設置を新入生勧誘と11月祭の期間に許可していることに関して、両被告は、敷地の内側に向けて表示されるため規制の対象外だとした。一方、組合は、11月祭の立て看板は沿道から見えていたこと、条例を考慮してもあと約8平方メートルの広告物が掲示できることを主張した。

2017年10月に行政指導を受け、京大は翌年5月に立看板規程を施行して基準に反する立て看板を一斉に撤去した。組合はその際、設置した立て看板が事前通告なく撤去されたとし、団体交渉での抗議を経て、昨年4月に提訴に至った。京大は「再三撤去を通知」し代替の設置場所を提示したが、組合が応じなかったと主張。組合が訴えてきた表現の自由についても、敷地の外構を利用する権利がないため成立しないとした。

弁論は原告から9名、被告から3名が出席した。終了後には組合が報告集会を開き、文書の開示に対する両被告の対応について、副執行委員長の高山佳奈子・法学研究科教授が「公にできないような内容だったと認めているのと同じ」だと批判した。

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【高山佳奈子教授と大河内泰樹教授=京都弁護士会館】

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