「武者の世」はじまりの物語に迫る 「鎌倉武士の物語と京都」(2022.05.16)

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4月2日から中京区の京都文化博物館で、総合展示「鎌倉武士の物語と京都」が開かれている。平安時代末期、白河上皇が始めた院政と武士の台頭によって、貴族の都であった平安京は政治的変革の時を迎えていた。この展示では、後世に伝わる武勇伝や美談といった「鎌倉武士」の「物語」を軸に中世以降の歴史資料64点を紹介し、激動の時代の主役となった武士たちの姿に光をあてている。

展示は時代順に第一章から第四章までの四部構成。平安末期に焦点を当てた第一章では、僧・文覚の悲恋のエピソードや、東国での源義家の武功などを、彼らの肖像画とともに紹介している。また、源平合戦の時代を取り上げた第二章では、近世に描かれた狩野派の絵画を通して、平敦盛や那須与一の逸話を取り上げている。鎌倉武士の「物語」は後世にも芸術の題材として好まれたようだ。

展示からはひとりひとりの逸話にとどまらず、時代背景も知ることができる。武者行列を再現した人形は、武士の華やかな出で立ちと、道端で見物する貴族の牛車の控えめな様子を対照的に再現しており、政治の実権が貴族から武士へと移ってゆく当時の趨勢をうかがわせる。鎌倉幕府成立後・承久の乱の前後を扱った第三章では、朝廷での和歌・管弦の遊びを描く絵巻物や、後鳥羽上皇の命で編纂された『新古今和歌集』などが展示される。鎌倉に武家の政権が生まれた後も、朝廷は文化サロンの中心として力を持ちつづけ、幕府との対立を深めていった。中世の事務文書や書簡を集めた『東寺百合文書』の展示からは、当時の政情の一端を知ることができ面白い。

第四章では、承久の乱に勝利した鎌倉幕府が権威を確立し、安定した武士の世を形作る様子が象徴的に紹介される。幕府内で実権を握った北条義時を古代の名将・武内宿禰の子孫として賛美する文書などが展示され、武家政権のなかでヒエラルキーが成立してゆく様子がわかる。

展示の最後には、取りあげられた武士ゆかりのスポットがいくつか紹介されている。いにしえの「物語」の舞台を聖地巡礼してみるのもまた一興。観覧の帰りに立ち寄ってみてはどうだろうか。

会期は5月29日まで(一部展示は6月5日まで)。月曜休館。観覧料は一般500円、大学生400円、高校生以下は無料。(汐)

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【絵軸や人形、甲冑など、さまざまな展示品が目を楽しませる】

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