琉球遺骨 地裁 返還認めず 第一審判決、原告は控訴(2022.05.01)

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京大が保有する琉球民族の遺骨の返還を求める訴訟で4月21日、京都地裁(増森珠美裁判長)は原告らの訴えを退ける判決を言い渡した。原告らが返還を受ける権利を持たないとしたうえで、被告・京大による遺骨の管理は「不適切とはいえない」と認め、住民らの宗教上の人格権を侵害していないと判断した。これを受けて28日、原告は大阪高裁に控訴した。

訴訟は、沖縄県今帰仁村の百按司墓から、1929年に金関丈夫・京都帝国大学助教授が持ち出した遺骨について、原告が返還と損害賠償を求めて2018年12月に提起した。京大は2017年に26体の遺骨を保有していることを認めており、墓に埋葬されていた王家・第一尚氏の子孫や松島泰勝・龍谷大教授ら原告5名が、その違法性を訴えている。被告・京大側は、2019年3月の第1回口頭弁論から一貫して、金関の遺骨収集や保管に違法性はないとの見解を示していた。

判決文では、返還を請求する権利を、国際人権法または憲法が具体的に定めているとは言えないと指摘した。また、所有権には他者の所持を許さないという排他性があるため、不特定多数の追慕者が誰でも請求権を行使できると解釈することは認められないとして、原告の主張を退けた。さらには、他の参拝者がいることや今帰仁村教育委員会による返還協議が行われていることなどを踏まえて、原告らに遺骨を継承させることは総意と見なせないと判断した。

一方で、「琉球民族として祖先の遺骨を百按司墓に安置して祀りたいという心情には汲むべきものがある」と付言し、宗教上の人格的利益として法的な保護に値すると解釈する余地があると指摘した。しかし、京大の人骨の保管の仕方は死者への畏敬の念を大きく害するものではないと評価した。また、個別の返還を認めた場合は、権利関係が複雑化し、「原告らの期待にも反する」と懸念を示し、他の関係機関も交えて解決に向けた環境を整備するよう求めた。

裁判当日には、約80人の傍聴希望者が集まり、抽選で約40名が傍聴を許可された。原告側からは弁護士が6名出席したが、被告側は出席しなかった。裁判長が結論部分を読み上げ閉廷すると、傍聴席からはどよめきが起こり、「理由を教えろ」「間違っている」との非難の声が上がった。

原告ら「手応えもある」 


原告らは閉廷後、京都市内で報告集会を開催した。弁護団が判決に対する評価を述べ、原告らや支援者が所感を話した。

普門大輔弁護士は、追慕者であれば誰でも返還を受けられるとは解釈できないとした判断に対し、「先住民族の人権を守る国際的な潮流に必死に抗おうとしている裁判所の姿が浮き出ている」と批判した。また、京大が遺骨を占有する権限や金関氏らが骨を採取した行為自体について、裁判所が判断を避けていると指摘した。

一方で、判決で「手応えを感じているところもある」と語った。原告の一人である亀谷正子氏が第一尚氏の直系子孫であることなどを裁判所が事実として認めたことに触れ、原告らが判決を受ける立場にあるか否かという「高いハードル」を乗り越えることができたと評価した。また、裁判所が宗教上の人格的利益を認めたことなども挙げて、「一審判決をふまえた働きかけを訴訟内外で続けていく必要がある」との意気込みを語った。

亀谷氏は、「訴えが二審の大阪高裁において叶えられることを切に願っている」と語った。

原告らは4月22日、時計台前で抗議集会を開き、京大の姿勢を批判した。主催した與儀睦美氏は、「皆さん、知らんふりしないでください」と呼びかけた。集会後には、総合博物館前で合掌し、遺骨に対して祈りを捧げた。

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【裁判翌日の抗議集会=百周年時計台記念館前】

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