薬学研 軟骨細胞内シグナル経路を同定 骨の伸長制御に期待(2022.04.01)

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宮崎侑・薬学研究科博士課程学生、市村敦彦・同研究科助教らの研究グループは3月15日、CNP(C型ナトリウム利尿ペプチド)によって活性化する、軟骨細胞におけるシグナル経路を新たに同定したとする研究成果を発表した。CNPは骨を伸長させる性質を持つため、今後、この知見が骨を人為的に伸長させることにつながると期待される。

ペプチドホルモンの一種であるCNPは、ヒトに投与すると骨伸長が見られる物質である。四肢短縮を伴う「軟骨無形成症」という難病では、「MAPKシグナル」と呼ばれる経路が過剰に活性化することで骨伸長が抑制されるが、CNPはこのMAPKシグナルを抑制することが明らかになっていたという。実際、CNP類縁ペプチドはこの疾患の治療薬となる。しかし、CNPの骨伸長効果が、MAPKシグナルの過剰活性化が起きない正常な骨や他の骨伸長障害でも確認されており、CNPの分子メカニズムが十分に解明されていなかったという。研究グループはこの点に着目し、CNPの骨伸長作用に関わる新たなシグナル経路の同定に取り組んだ。

研究グループは以前、軟骨細胞内で「TRPM7」というチャネルがカルシウムイオンを透過させていることを発見しており、CNPがTRPM7を介して軟骨細胞内のシグナルを活性化することで骨伸長を促進していると予想したという。研究グループはマウス胎児から大腿骨を採取し、これをスライスしたものを解析の試料として用いた。

解析の結果、CNPが細胞表面の受容体に結合すると、リン酸化酵素が活性化し、特定のチャネルが開いてカリウムイオンが細胞外に流出すると判明した。正の電荷を持つカリウムイオンが外に出ると細胞内が負に帯電するため、正の電荷を持つカルシウムイオンが流入しやすくなる。その結果、TRPM7を介して流入するカルシウムイオンが増え「CaMKII」と呼ばれる酵素が活性化すると確認された。また、実際にCNPを添加すると、正常の骨では骨が伸長した一方で、TRPM7の遺伝子を働かなくした骨ではCNPを加えていない場合と同じくらいしか伸長しなかった。この結果は、CNPの骨伸長効果において、TRPM7を介して流入するカルシウムイオンが必要だと示唆するという。

市村助教は報道発表の記者会見で、「骨を伸長させるだけではなく、シグナル経路の活性の強弱を制御することで、家畜や愛玩動物の体格をコントロールすることができるようになるかもしれない」と話した。この研究成果は、国際学術雑誌「eLife」にオンライン掲載された。


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