ニュース

職員組合 学生の設置許可 整合性問う 立て看板訴訟 第3回弁論

2022.03.16

大学周辺の立て看板の撤去をめぐり、京大の職員組合が京都市と京大を提訴した訴訟の第3回口頭弁論が、2月22日に京都地裁で行われた。原告・組合は11月祭の期間中、学生団体の立て看板設置が面積の制限無しに認められていたことを指摘し、組合に対する大学の対応が柔軟性に欠けると批判した。次回弁論は5月13日の14時から行われる。

弁論には原告側から7名、被告・市と京大から2名ずつ出席した。組合は、立て看板の撤去に至った経緯の詳細を明らかにするため、市が屋外広告物条例を根拠に京大に対して行った行政指導について、その内容を記載した文書を開示するよう市に求めた。また、指導を受けて京大が定めた立看板規程の中で、新入生勧誘と11月祭の期間、学生団体に立て看板の設置を許可していることに触れ、市の条例との整合性を説明するよう要求した。これに対し、京大の代理人弁護士は「釈明する必要性の有無も含めて検討する。必ずしも回答するとは限らない」と答えた。

さらに市は準備書面の中で、京大の本部構内をひとつの区画とみなして広告の面積基準を適用しているとの見解を示した。また、設置可能な広告物の面積を区画の広さに応じて増やせば、広告が一か所に集められた際に景観に悪影響を及ぼすと述べた。組合はこれに対し、広大な大学の敷地全体に一区画分の基準を当てはめるのは過大な制約であり、広告物ごとに一定の距離をとるよう定めれば被告の懸念を解消できるとし、市の条例の解釈や規制が曖昧だと批判した。

市は2017年10月に行政指導を行い、大学は2018年5月に規程を施行して基準に反する立て看板を一斉に撤去した。その際に組合の立て看板が事前通告なく撤去されたとして、組合は団体交渉で抗議したが、「誠実な説明がなかった」と判断した。今年4月に提訴し、550万円の損害賠償を求めている。

当日は10名ほどが傍聴に訪れた。弁論後は組合側が報告集会を開き、組合の副執行委員長である高山佳奈子・法学研究科教授と弁護団が登壇した。高山教授は「組合の意見や権利が踏みにじられている」と述べたうえで、裁判の動向について「引き続き注目していただきたい」とした。

takayama.jpg

【報告集会に登壇した高山教授=弁護士会館】

関連記事