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吉田寮訴訟 京大「居住継続は危険」 耐震性の議論経て結審へ

2021.12.16

京大当局が吉田寮現棟の明け渡しを求めて寮生を提訴した問題で、12月13日、第10回口頭弁論が京都地裁で開かれた。被告・寮生側が現棟に耐震性能があると主張していることについて原告・京大が書面で反論した。被告の用いる指標は建物の部材の劣化を考慮していないと説明し、「居住し続けるのは危険」と指摘した。被告側の弁護士によると、双方の主張はほぼ出揃った。耐震性をめぐる追加の応酬を経て結審に至るという。

京大は書面で、寮生側の「補修すれば継続使用可能」との主張に対し、「原告に補修の義務はなく前提が誤り」と反論。老朽化対策について、寮生側は完全退去せずに補修可能と主張するが、京大は「被告らが建物占有を継続する以上、検討を進めることもできない」と述べ、在寮契約の解除はやむをえないと訴えた。

続けて、05年と12年の耐震診断の理解をめぐり被告を追及する。「数千年に一度」の地震では倒壊するおそれがあるという被告の認識について、別の指針を持ち出した読み替えと批判し、震度6強で倒壊しうると指摘した。2度の耐震診断をめぐり、被告は基準の変更により数値が悪化したものの建物の耐力はあると捉えているが、原告は、部材の劣化を考慮して基準が厳格化されたと説明したうえで、現状では耐震性は不十分と指摘した。

訴訟は2019年7月から続く。大学と寮生の契約関係や過去に結ばれた確約の扱いについて双方が主張を交わし、老朽化の度合いが争点となっている。

今回の京大の主張を受けて寮生側の弁護士は法廷で、鑑定士に問い合わせて次回以降の弁論で反論すると表明した。傍聴希望者は約60人集まり、終了後に寮自治会が報告集会を開いた。

第一審の見通しについて、寮自治会は本紙の取材に「どうなるか分からないが、あくまで求めるのは裁判での決着ではなく話し合いだ」と答えた。次回弁論は2月16日15時、次々回は4月13日15時から開かれる。

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