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熊野寮祭 時計台「占拠」 警察が阻止 「職員に負傷者」大学発表

2021.12.16

12月3日、百周年時計台記念館にて、熊野寮祭イベント「時計台占拠」の一環として、寮生らが時計台への登攀を試みた。京大は「梯子を持って本部構内に突進してくるという暴力的な行為があった」として警察に通報し、警察官数十名が入構した。数十分のこう着状態ののち寮生らは撤退し、時計台に登ることはなかった。

正午ごろ、熊野寮生とみられる集団が正門から本部構内に進入すると、正門外に待機していた機動隊が直後に入構し、寮生らの進行を阻止した。昨年は登攀後に入構したが、今年は早期の対応となった。京大は本紙の取材に「警察への警備要請の詳細は答えかねる」と説明した。

寮生らは黒い衣服を身につけ、サングラス・マスク等で頭部を覆っており、拡声器で「我々は京都大学の学生だ。出ていくべきは警察の方だ」などと訴えた。その後数十分にわたり、寮生と警察官は向かい合うかたちでこう着状態となった。また、職員が寮生らをビデオカメラで撮影し、寮生らが抵抗する姿もみられた。続いて、寮生らはスクラムを組み、拡声器を用いて演説を行った。騒動を見ていた学生らに対しては、「今年は警察が来て登れないが、来年は一緒に登りましょう」と呼びかけた。13時すぎに寮生らは時計台前から撤退した。

企画は、熊野寮祭のイベントとして10年以上前から行われている。2017年から大学は不参加を呼びかける告示を出しており、同年には警察を導入した。昨年には学生10名ほどが梯子をかけて時計台に登り、大学が警察を構内に招き入れる事態となった。今年度の寮祭初日を翌日に控えた11月25日、大学は、昨年度に時計台に登ったとされる学生ら8名に対し、停学・譴責処分を発表していた。また、寮祭初日の11月26日の正午ごろにも、機動隊が正門外で待機した。熊野寮は「シン・時計台コンパ」と称して、時計台前で飲食物の提供や音楽ライブを行うことを予告しており、これを警戒しての措置とみられる。

大学は、12月15日付で告示を発出し、事前の通告にもかかわらず寮生らが時計台登攀を試みたことについて、「このような暴力的な行為に及ぶことは極めて悪質であり、本学として看過することはできない」とした。また、告示では、熊野寮自治会について、通告に反してこれらの行為を行ったことは「自治会としての責務を果たす意思と能力がないことを示すものと言わざるを得ない」と批判した。告示によると、昨年に引き続き、制止しようとした職員に負傷者が出たという。

熊野寮は、企画の目的として、学生への処分撤回や、「自由な大学の奪還」などを掲げている。自治会によると参加者に逮捕者はいなかった。

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