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「総長室突入」 学生ら処分保留で釈放 弁護士「総長は要求聞くべき」

2025.03.16

検察は2月28日、2022年の熊野寮祭の企画「総長室突入」で京大の業務を妨害したなどとして勾留されていた学生ら7名を釈放した。寮自治会によると、検察は起訴・不起訴の判断を保留しているが、勾留期間満了により7名を釈放したという。27日には、4名の勾留理由を開示する手続きが京都地裁で行われ、堀和幸弁護士は、総長は学生らの要求を聞くべきだったと述べた。

「総長室突入」は、22年12月に熊野寮祭の企画として実施された。保健診療所の再開や学生処分の撤回を求める要求書を総長に提出するため、学生ら100人以上が本部棟の前に集まり、一部は建物に立ち入ったが、警察官の入構を経て撤退した。

京大は「総長室突入」の参加者の行動は「迷惑行為、侵入行為、危険な暴力行為」だと発表し、23年2月、刑事告訴した。そして、京都府警は今年2月8日と13日に計7名の京大生らを逮捕し、同月9日、関係先として熊野寮を家宅捜索した。

こうしたなか、2月27日には、4名の勾留理由を開示する手続きが京都地裁で行われた。

当日は88席の傍聴席に対して90人以上が傍聴を希望し、抽選となった。大野友己裁判官は、4名に犯罪の嫌疑を認めたうえで、勾留理由として罪証隠滅のおそれや逃亡のおそれを挙げた。そして、4名に意見陳述の時間を与えたが、全員が黙秘した。一方、弁護人の堀和幸弁護士は、「総長室突入」の目的は正当であり、総長は当日の業務を後回しにしてでも学生らの要求を聞くべきだったなどと述べ、学生らの釈放を求めた。

手続き中、傍聴席からは裁判官の発言に対し常に怒号が飛び交った。手続き終了後は、傍聴人が束になって傍聴席の前方に押し寄せ、「京都地裁は恥を知れ」「7人を直ちに釈放せよ」などと声を上げた。

熊野寮自治会は3月8日、本紙の取材に対し、「総長室突入」は正当な抗議活動だったと振り返ったうえで、今後も京大、裁判所、警察に対し抗議を続けるとコメントした。7名は取調べに対し、黙秘を続けていたという。

2022年12月の「総長室突入」

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