「総長室突入」 「業務妨害」で学生ら7名逮捕 京大が刑事告訴 寮へ捜索も
2025.02.16

「総長室突入」は、2022年12月2日に熊野寮祭の企画として実施された。寮自治会によると、保健診療所の再開やコロナ禍に始まった課外活動規制の撤廃、学生処分の撤回など10点を求める要求書を湊総長に提出することが目的で、学生ら100名以上が本部棟の建物前に集まった。一部が建物に立ち入ったが、警察官の入構により要求書を渡すことなく撤退した。
京大は企画実施の2週間後に発表した文書にて、参加者の行動を「多人数による圧力や大音量での扇動を伴いつつ行われたことが確認されており、極めて悪質」と非難していた。その上で、寮自治会および「迷惑行為及び違法かつ危険な行為に関与した者」に対して、法的措置を含め厳正に対処する方針を示していた。
昨年9月には「総長室突入」で他の学生を「扇動」した行為が「正常な業務遂行を妨害するもの」と判断して学生5名に1~2か月の停学処分を下した。
2月14日、京大はホームページに文書を発表し、逮捕された7名の行為を「到底看過できるものではない」と判断し、23年2月に刑事告訴していたと明かした。今後については「本件捜査に協力するとともに、引き続き学生指導に努める」と述べている。本紙の取材に対して、京大は2月10日に逮捕を認識したと述べた。録画の提出など逮捕に至るまでの関与を尋ねたところ、「捜査に関係すること」であるとして回答を控えた。
寮自治会は本紙の取材に対し、2月15日時点で8日に逮捕された6名は勾留されていると明かした。後日、大学と警察に対して抗議文を発出する予定だという。
逮捕翌日に家宅捜索
2月9日には威力業務妨害を行ったとされる者の関係先として、京都府警が熊野寮に家宅捜索を行った。寮自治会によると、捜査員8名が敷地内に入り、B棟地下の捜索を行った。「総長室突入」に関わる計画・動機・目的に関係があると認められるものが押収対象で、警察はビラやレジュメなど5点を押収した。
家宅捜索に際し、大学から学生寮を担当する学生生活委員会第三小委員会の教員2名、厚生課長と厚生課長補佐の計4名が訪れた。寮自治会によると、逮捕の経緯を問われた厚生課長は、京大が告訴したと発言した。一方、教員2名は告訴の事実を知らないと述べたという。このことから、寮自治会は教員や教授会に共有されていないのではないかとの懸念を示し、学内の意思決定プロセスに問題があると指摘した。
大学は12時頃、熊野寮へ通達を行った。通達の15分後、捜査員および機動隊員あわせて約200名が寮を訪れた。寮生が過剰だと抗議し、8名の捜査員が寮の敷地内に立ち入った。捜索は13時ごろに開始し、3時間ほどで終了した。今回の家宅捜索で、寮における怪我人や物損の発生は確認していないという。