文化

野球部 水口創太さん 京大史上最速投手

2021.12.01

152キロを投げる、京大生――もちろん、京大史上最速投手だ。しかし「直球はもっと極めたい。まだ伸びる」という。

野球は小学生から始めた。当時から今まで、ずっとピッチャー。小中と先輩だった、現横浜DeNAベイスターズ所属の京山将弥さんのピッチングに「圧倒された」と話す。膳所高校に進み、厳しい練習に耐え直球の最速は140キロまで伸ばした。高校2年生の時から京都大学を志望するようになるが、結果は不合格。それでも諦めず、一年の浪人を経て京大医学部に入学。「練習はまったくできなくて。体重だけは上下しないようにしていましたね」と浪人期間を懐かしむ。

大学入学後、ストレートの最速は毎年5キロずつ上がったが、1年目と2年目は公式戦の登板なし。コントロールに課題があり、「投げる実力がリーグ戦レベルではなかった」と振り返る。迎えた3年目。春季リーグで公式戦初登板を果たしたものの、依然として制球に苦しんだ。当時の青木監督からのアドバイスは「腕を少し下げろ」。夏休みに早速実践し、斜めから投げる意識を持った。すると指の感覚が良くなり、リリースポイントも安定した。元からの武器であった高身長を生かして投げ下ろすスタイルに影響が出てしまうのでは、とも考えられるが、「多少腕を下げても他の人よりはだいぶ高い。それならコントロールを取ろう」と前向きに捉えた。

夏が明け、秋季リーグの近畿大学戦で登板すると、2回無失点。大学初勝利と、直球の最速149キロを記録する。この時点で元ロッテの田中英祐氏の記録を抜き、京大史上最速投手となった。「京都大学でも、ある程度勝てていけるのではないか」と自信を持ったという。その後の試合でも記録を伸ばし、10月3日の同志社大学戦では最速152キロを記録。セリーグ球団のスカウトが視察に来るなど、一躍プロ注目の選手となった。

医学部の中でも人間健康科学科は、4年で卒業できる学科だ。卒業後に見据える第一の進路は、プロ野球。「就活もやりつつ、プロ野球に行けるのであれば行きたい」と語る。しかし、プロへの道のりは簡単ではない。今後は「フォアボールを減らして、防御率にこだわりたい」と新たな目標を自らに課す。この冬はフィールディングや牽制、投球フォームの安定と指先の感覚強化を徹底する。

来年は最高学年。自ずと自身の出番も増える中で、目標は達成すれば現行のリーグでは初となる京都大学のリーグ優勝だ。「チームが勝てば自分も注目されると思う」と意気込む。京大から二人目の、プロ野球選手登場なるか。(航)

(関連記事:京大硬式野球部 水口創太さん インタビュー 勝負の一年、プロ見据え「結果を残す」 

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【みなくち・そうた 滋賀県大津市出身。1999年8月9日生まれ。膳所高校から1年の浪人を経て京大に進む。医学部人間健康科学科3年。194センチ94キロ。】

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