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京大 保管ケースの写真を提出 琉球遺骨返還訴訟 第9回弁論

2021.06.01

京都地方裁判所で5月21日、琉球遺骨返還請求訴訟の第9回口頭弁論が開かれた。遺骨の返還を求められている被告・京都大学の代理人は、総合博物館が作成した遺骨の保管状況に関する写真付きの資料を提出し、収集直後に付けられた「人骨番号」に基づいて「管理」していると述べた。

裁判では、京都帝国大学の金関丈夫助教授が沖縄県今帰仁村の百按司墓から持ち出した26体の遺骨について、百按司墓に埋葬されているとされる第一尚氏の子孫と琉球民族の合わせて5名が返還を求めている。裁判において京大は、遺骨を「適切に管理している」と主張してきたが、対して原告は管理の実態も詳らかでないとして、裁判所に対し、京大総合博物館の現場検証を求めていた。原告は、存在するはずの目録の一部を京大が裁判上で開示しないことを問題視している。開示されない目録の存在は、文部科学省が実施したアイヌ遺骨に関わる調査において京大が提出した資料から裏付けられているためだ。

今回の弁論で京大は、「調査報告書」と題する2021年5月13日付けの総合博物館名義の書類を証拠資料として提出した。報告書では、現在、遺骨をプラスチック製のケースに入れて保管し、それぞれの箱に収集直後に清野謙次教授らが振った「京大人骨番号」の記されたラベルが付けられていると述べた。その上で、開示していない人骨目録の存在を改めて否定した。資料には、空のケースと、棚に並べられているケースの写真が添えられた。原告弁護士の丹羽雅雄氏は21日の弁論後に開かれた報告集会において、京大が提出した写真では、ケースにラベルが付されていることは判然としないと指摘し、「京大の主張には無理がある」と述べた。

今後の口頭弁論期日は、8月27日11時と10月29日14時半に決まった。10月の弁論では、証人尋問が行われる予定という。

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