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京大宇宙学の軌跡 総合博物館で春期企画展

2008.04.16

京都大学総合博物館企画展示室で、4月9日より、「京の宇宙学~千年の伝統と京大が拓く探査の未来~」と題した春期企画展が開催されている。京都大学の宇宙学の総決算というだけあって、とても充実した内容の企画展となっていた。 展示スペースでは、京大と数カ所の一般企業が共同で作成した「模擬太陽光発送電装置」が入口に置かれ、続いて、会場が6つのゾーンに分けられていた。

それぞれ「地球・太陽・太陽系」「恒星・銀河・宇宙」「電波・赤外・可視光」「紫外線・X線・ガンマ線」「宇宙開発」「シミュレーション」といったテーマが設定されており、テーマ毎に関連したパネルや模型がおかれ、様々な解説がなされていた。京大理学研究科附属の花山天文台や飛騨天文台での観測結果も随所に交えられていた。

特にゾーン2では、原始星からブラックホールに至るまでの星の一生が解説されている他、一般相対論にもとづく宇宙の構成がグラフで示されていた。なんでも、私たちの知っている通常の物質は、宇宙の「物質・エネルギー」の4%にすぎず、それ以外はダークエネルギーやダークマターといった未知の物質だというのである。地学好きでなくともその神秘性に、宇宙の広大さにロマンを感じるというものではなかろうか。

またゾーン6では、モニターでの宇宙ジェットなどのムービーだけでなく、レンズやプリズムのはたらきを体感できる簡単な実験器具なども置かれており、来場者は顔をつき合わせて楽しんでいた。「京大宇宙研究者列伝」なるものも放映されており、現在京大の副学長を務めている松 本 紘氏をはじめ、京大出身の宇宙研究者たちの功績などが紹介されている。

6つのゾーン以外にも、会場の中央には、特殊な眼鏡を装着することで、太陽が刻一刻と移り変わっていく様を立体的なムービーで見ることのできる「4次元デジタル宇宙シアター」があり、迫力ある映像に時おり歓声があがった。

また、今話題のWiiリモコンを使って、地球周辺の電離層の乱れや、その伝搬の様子を、様々な確度から見ることのできるモニターなどもあり、見所の多い展覧会となっていた。訪れていた高校生の1人は、「宇宙のことが詳しく分かるうえに楽しい。Wiiもこんな使い方ができるとは、勉強になった」と話した。

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