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看板撤去 具体的根拠を初めて説明 職組との団体交渉で

2019.04.01

2月22日、法人京大と京大職員組合との団体交渉が開かれ、京大が進める立て看板規制が話題にあがった。組合は、昨年5月に組合との協議を続けていた状況で看板を強制撤去したことや、それに関わる説明が不足していたことを追及した。出席した森田正信・労務担当理事らは、組合の看板を撤去する法的根拠を、はじめて具体的な条文を示して説明し、法人側の対応に問題はなかったと主張した。

2017年12月に制定され、昨年5月1日に施行した「京都大学立看板規程」では、看板設置は原則として「京都大学学内団体規程により総長が承認した団体」、「本学が別に指定する場所」以外には認めないとしている。昨年5月13日には、職員がキャンパス周辺および構内の、規程に反する立て看板を、組合のものも含め一斉に撤去した。京大は組合の看板も「立看板規程」に基づき撤去したと説明してきた。また、キャンパス周辺の看板については、「職員組合によるものも含め、条例に違反していると京都市から指導を受けた」と主張している。

今回の団体交渉で、法人側は、組合の質問から、組合の立て看板設置を条例違反とする具体的根拠をはじめて説明した。それによれば、組合の看板は、「京都市屋外広告物等に関する条例」の擁壁設置禁止の条項(第5条)や屋外に設置可能な屋外広告物の面積上限(第11条)に抵触するために設置できないのだという。条例では、1区画に設置する屋外広告物の面積上限を、地域ごとに指定。京大本部構内は1区画とみなされ、その周辺の広告物の総面積は15平米を超えてはならないとされている。法人側は、総合博物館の案内など、現在京大に設置されている掲示物の総面積は、上限に達しており、組合の看板を設置する余地がないと主張した。

組合によると、法人側がこうした法令の具体的根拠にまで踏み込んで説明したのは、今回の交渉当日がはじめてで、昨年5月の撤去以前には詳しい説明はされていなかった。そのため、組合としての看板規制に関する対応方針を示すに至っておらず、組合と法人との協議は、継続中であるという認識だったという。組合は、議論に決着がつく前に撤去に踏み切った法人の対応を不誠実だと批判している。

また、昨年5月に一旦は撤去した看板を同年11月に設置し直すことに至った経緯についても、組合は追及した。京大は昨年5月、構内に設置されていた組合の看板をも撤去した。しかし、昨年11月、組合の看板は規程の例外として認められるとして、北部構内の2か所に関しては再設置された。こうした対応について法人側は、組合が意向を法人側に伝えなかったために撤去することになったと述べ、責任を否定した。組合は、「明確な誤りさえも、認めることができないのか」と法人側の姿勢を批判をしている。

組合は、法人の対応次第では、労働組合法で禁じられた「不当労働行為」として、京都府労働委員会に申し立てることも視野に入れていることを、昨年から声明で表明している。

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