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琉球遺骨 返還求め京大を提訴 琉球王族の子孫ら

2019.01.16

京都帝国大学助教授が琉球の王族を葬った百按司墓から持ち出した遺骨の返還を求め、昨年12月4日、琉球の王族の子孫らが京都大学を京都地裁に提訴した。京都大学に保管されている遺骨を巡っての提訴は初めて。

原告は、百按司墓に埋葬されているとされる第一尚氏の子孫である亀谷正子さん、玉城毅さんや、琉球民族の松島泰勝・龍谷大学教授、照屋寛徳・衆議院議員ら5名。現在京都大学が保有する26体の遺骨の返還と、慰謝料計50万円を請求している。国連総会が定めた「市民的及び政治的権利に関する国際規約」第27条において少数民族が「自己の文化を享有し、自己の宗教を信仰しかつ実践し又は自己の言語を使用する権利を否定されない」と定められている。琉球には神となった祖先の霊魂が宿るものとして遺骨を崇拝する風習があるため、京都大学の遺骨保有は宗教の信仰と実践の妨げになっていると訴える。また民法897条第1項に「系譜、祭具及び墳墓の所有権は、(中略)慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者が承継する」とある。遺骨は「系譜、祭具及び墳墓」に含まれており、琉球の慣習によれば祖先の祭祀を主宰するのは子孫であるので、原告らに遺骨の所有権があると主張している。

原告が裁判で返還を求めるのは、京都帝国大学医学部の助教授であった金関丈夫氏が1928年から1929年にかけて沖縄県今帰仁村にある百按司墓から持ち出した26体の遺骨である。照屋議員が文科省を通じて行った調査によると、2017年時点で京大総合博物館が所蔵している。

提訴後の報告集会で、松島教授は、琉球民族は先住民族であり、京都大学の遺骨保有は人権侵害に当たると強調した。
京都大学は本紙の取材に対し、1月11日付で「訴状が届いていないのでコメントは差し控える」と回答した。

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