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吉田寮に再び仮処分 京都地裁 対象者を追加

2019.03.10

吉田寮を巡り、京都地裁は3月4日、吉田寮現棟に債務者不特定の占有移転禁止の仮処分を執行した。今回の仮処分により、大学側が保有する寮生名簿に氏名の記載がある寮生に加え、記載がなく大学が寮生と認めていない居住者についても、自らの占有権を第三者へ移譲できなくなる。仮処分を受け、寮自治会は5日に抗議声明を発表し、当局が寮生名簿の受け取りを昨年4月以降拒否していることを指摘し、正当な選考を経て入寮した学生の把握を怠っていると批判した。

3月4日午前9時30分頃、京都地裁の執行官8名が、執行補助官や大学職員らとともに吉田寮を訪れた。対応した寮生によると、執行官は居住棟の各部屋を回り、居住者を確認したという。そして数時間後、再び寮を訪れた執行官が、確認した居住者の名前を追加した公示書を掲示したことをもって仮処分の執行が完了した。

吉田寮現棟に関しては、1月17日、京大が保有する2017年12月時点での名簿に記載されている寮生を対象に、現棟の占有移転禁止の仮処分が執行されている。当局は、執行官から名簿に記載のない者が居住しているとの報告を受け、「看過できない」と判断し、2月13日、対象者を限定しない形での仮処分を京都地裁に申し立てた。その後、21日に仮処分の決定が通知されたことを受け、25日に執行を申し立てたところ、今回の実施に至ったという。

吉田寮自治会が2月20日発表した文書への回答を求めている中、仮処分を申し立てたことについて、川添理事は、文書への応答ではなく、時期が偶然重なったと説明した。文書へは「期日までに何らかの表明を行いたい」と述べた。

仮処分を受け、寮自治会は3月5日、抗議声明を発表した。当局が寮生と認めていない居住者は寮自治会による選考を経た学生であると説明したほか、寮自治会が毎月提出している寮生名簿を昨年4月以降当局が受け取っていないことを指摘し、当局が正当な居住権を持つ寮生の把握を拒んでいるとして、「職務怠慢」だと批判した。続けて、法的手段によらず、話し合いに基づいて現棟の老朽化問題を解決することを改めて求めた。

名簿について、川添理事は、4日の会見で、昨年4月以降受け取っていないことを認め、その理由を、入寮募集の停止を通告した「基本方針」の発表以降に入寮した者は寮生と認められず、名簿を受け取る必要がないためと説明している。

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