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湯川秀樹 ビキニ事件に言及 湯川日記を新たに公開

2018.06.01

京都大学基礎物理学研究所は5月11日、湯川秀樹が1954年に書いた日記を新たに公式サイト上に公開した。アメリカ海軍の水爆実験で日本の漁船第五福竜丸が被爆したビキニ事件に言及しており、湯川の核技術に対する考えを探る上で貴重な資料となる。

湯川の研究日記を巡っては、湯川の書いた文字が癖字で読みづらいとして、小沼通二・慶応義塾大学名誉教授らの研究グループが2016年から湯川の研究日記の解読を進めていた。昨年12月にはアジア・太平洋戦争中の内容を公開し、これにより湯川本人が原爆研究への関与を示す記述を残していたことが分かった。

今回公開された日記には、「水爆実験による真っ白な灰を被ったマグロ漁船」と書かれた3月16日以降、「原子力と人類の転機」と題して毎日新聞に寄稿したことが記されているほか、公民館での講演や国会で原子力について話したとの記述がある。その後、湯川は核兵器の廃絶を訴えるラッセル=アインシュタイン宣言に署名しており、原爆研究に携わった戦時中から、ビキニ事件を機に核の利用に対する姿勢を転換したことが分かる。
基礎物理学研究所によると、研究グループは引き続き日記の解読作業を進め、解読が終わり次第公開していくという。

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