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アルツハイマー 既存薬混合で効果 原因物質の低減に成功

2017.12.01

京都大学iPS細胞研究所の井上浩久教授らは11月20日、アルツハイマー病の原因物質を減少させる薬の作製に成功したと発表した。作製された薬は、医療現場で実際に使われている3種類の薬を組み合わせており、すでに安全性が確認されていて、長期間使用可能な既存の薬を利用することにより、早期の実用化を目指す。

アルツハイマー病は、アミロイドベータと呼ばれるタンパク質が蓄積し、神経細胞が死滅することでで発症するという説が有力だとされている。今回の研究では約1200種類もの既存の薬からアミロイドベータの量を最も減少させる効果のある3種の薬による組み合わせを特定した。この組み合わせでは、アミロイドベータの量を4割ほど減少させることに成功している。

本研究では、アルツハイマー病患者のiPS細胞から作製した大脳皮質神経細胞を用いて研究を行った。今後、動物実験や人体実験を実施し、実用化を目指す見通しだ。
アルツハイマー病は、記憶や学習といった認知機能に障害をきたす病気であり、重症化すると意思疎通が困難になり、介護が必要となる。国内には数百万人の患者がおり、今世紀中には患者数が全世界で1億人にのぼると推定されているが、治療法はいまだに確立されていない。

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