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水草の分布調査 人工衛星で 種類も判別可能

2017.11.16

京都大学と滋賀県立環境科学研究センターは10日、人工衛星画像を利用して琵琶湖に生育する植物の定量化に成功したと発表した。人工衛星の画像から繁茂している沈水植物の種類判別に成功したのは世界初。この技術により、琵琶湖全体での水草の生育状況を定期的に観測できるようになる。今後はJAXAとも協力し、調査対象を世界各地の湖に拡大していく。

琵琶湖底に生育する沈水植物は、船舶の航行や取水に大きな影響を与えている。今までの調査では現地で採取した植物の量を測定する方法を取っており、時間がかかるうえに定量的なデータを得られなかった。今回の研究では、人工衛星から得られる吸光スペクトルを分析することで、水草の分布や生育密度を推定できることが示された。新たに開発された分析技術により、水中の懸濁物質や植物プランクトンによるスペクトルの変化を補正することで、沈水水草、浮遊水草、異常繁殖水草といった生育する水草の形態を判別できる。また、種によって各波長での光の反射・吸収量が違うことを利用し、外来生物であるオオカナダモと固有種の水草3種を判別することにも成功したという。今後は滋賀県が実施する琵琶湖の水草刈り取りの影響調査や、効果的な刈り取り場所の推定への利用が期待されている。

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