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iPS細胞、無償提供へ 理研と共同で

2008.04.01

京大は3月26日、独立行政法人理化学研究所と共同で、マウス由来iPS細胞提供事業を開始した。提供は国内外の研究機関に対し、非営利で行われ、iPS細胞を利用した研究が一層進むとみられる。

提供希望者は、誓約書を京大に提出し、理研バイオリソースセンタ―(BRC)と生物遺伝資源提供同意書を取り交わした後、理研BRCよりiPS細胞の提供を受ける。その際、必要実費としてチューブ一本あたり2万4000円を理研に対し支払う。

理研BRCは、昨年8月に京大からiPS細胞の提供を受け、昨年末には提供用細胞の培養を始めていた。提供にあたり莫大な需要が見込まれるが、十分在庫は準備できているという。提供される細胞はチューブ一本あたり100万個程度封入して分配される。肝臓や胃の細胞からiPS細胞が作製されるなど、研究の進展によって、提供される細胞の株は最新のものへと変えていく。

京大はこれまで、マウスiPS細胞は7大学・研究機関の12研究室に、ヒトiPS細胞は3大学・研究機関の5研究室に提供してきた。

会見した松本紘・副学長(研究・財務担当理事)は、「(iPS細胞は)世の中のニーズも多い。一刻も早く研究の進展が加速されるように協力していきたい」と話す。

◆センタ―の研究推進体制も発表

会見では、今年1月に発足したiPS細胞研究センタ―の研究推進体制も発表された。センタ―には、基礎生物学、分化誘導技術、医療応用技術の各研究部門のほか、動物実験施設や知財管理部が置かれる。iPS細胞を連携して進めるために、国内外の研究者の集う研究スペースや試料の提供を行う共同研究推進部門も設けられる。

また、iPS細胞の研究開発に伴う知的財産を保護するため、産官学連携センタ―にiPS細胞研究知財支援特別分野を新たに設置。10名程度のスタッフがこれにあたる。センタ―には同様の組織として、知財情報管理オフィスを作り、共同研究の成果による知財を管理する。

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