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経済学部 「短期修了コース」導入 学部と修士を5年で修了

2015.12.16

経済学部・経済学研究科は「経済学部短期修了コース」を来年度から導入する。一定の基準を満たした優秀な経済学部生を選び、学部段階から大学院の授業を受講可能にすることで、学部4年と大学院1年の計5年で修士号を取得できるようになる。受験生に筆記試験を課さず、学部の成績を教育の質保証に位置づける。従来の大学院入試は存続し、大学院の窓口が多様化する。他大学ではすでに導入されているところも多く、その中には経済学部・経済学研究科をもつ国立大学の10大学中9大学も含まれる。

本制度の実施方法、経過は次の通り(左図も参考)。3年生前期までの成績をもとに候補生を決定する。成績評価の対象は外国語科目、全学共通科目、専門科目で、それぞれ一定の科目数、成績を満たしていることが条件。9月下旬に候補生に通知を出し、10月下旬に募集を始める。応募には出願書、研究計画書のほか、TOEFL‐ITPのスコアや教員による推薦書の提出が必要になる。11月下旬の面接後、12月にコース生を決定する。コース生は4年生時から大学院の授業を最大10単位まで受けられる。なお、コース生は、一般入試合格者とは別に、一定水準の成績を満たした修士論文の提出が求められる。

経済学部・経済学研究科長の岩本武和氏によると、本制度を導入する背景には、学部4年生が事実上の空白期間になっているとの実態があるという。多くの経済学部生は3年生時に卒業に必要な単位をほとんど取得済みで、4年生前期は就職活動や大学院入試に注力し、後期を自由時間にあてるケースが多い。また、就職と進学を両方検討していた4年生は、就職先が決まると進学をやめてしまう傾向が強い。本制度の導入により、大学院進学希望者は1年生時から目標を持って勉学に取り組み、4年生時の空白期間を埋められるようにする。また、修士号取得にかかる年数を5年に短くすることで費用や時間を抑制・短縮して、優秀な学生から大学院進学希望者を増やすことが期待される。同時に、大学院修了者の就職待遇が学部卒業者とほとんど変わらない現状を改善するため、修士号の価値をより評価してもらえるよう企業に働きかけていくという。

これまでに実施してきた経済学研究科大学院入試は存続するが、現在の募集人員44名から短期修了コース生の枠を確保するので、自校優先枠となる。コース生の枠が安定的に埋まれば全体の募集人員を増やすことも検討しているという。

他国立大学の経済学部・経済学研究科では、一橋大学が2006年に5年一貫教育「研究者養成コース」を導入しているほか、10大学のうち京大を除く9大学ですでに導入されている。また、複数の私立大学でも実施されており、5年で修士号を取得できる仕組みは経済学部・経済学研究科では一般的となりつつある。

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