企画

〈教習所特集〉免許を取ろう ~君を隣にのせたいから~

2014.04.01

免許取得を考える方々の中には、いまいちその実態が分からず申し込みを尻込みする人もいるのではないかと思う。
そこで本紙では教習所特集と題し、編集員が免許取得までの実態をお伝えする。少しでも諸氏のお役に立たんことを!(編集部)

特集① 当世教習所気質

体験記~通い・ATの場合~

何から始めるか

とりあえず教習所の相談会に足を運んでみよう。時計台、吉田ショップ、ルネなどで数か所の教習所が日替わりで開いている。相談会に行ってここの教習所にしようと決めたら、そのまま生協で入所申し込みもできる。もちろん直接教習所で申し込みを済ますこともできるが、普段から行く生協の方が、手っ取り早くて便利だろう。

教習所を決めたら「合宿」か「通い」のどちらにするかを決めなければならない。合宿の方は「エンジョイ! 合宿免許」に譲るとして、ここでは「通い」で免許を取った私の体験をもとに話を進める。 通いで免許を取得するといっても、各教習所によって内容や名称に違いがあるが、概ね3つのタイプに分かれる。自分で予定を組む「随時コース」、1ヶ月程を目安に教習所側が予定を組む「速成コース」、自分の都合を伝えてそれを元に教習所で予定を組んでもらうコース。一般的なのは「随時コース」だが、バイトもなく早く免許を取ってしまいたいと考えた私は「速成コース」を選択した。

次にAT車かMT車を決めなければならない。AT車はブレーキペダルとアクセルペダルだけで動かすことができるが、MT車はこれにクラッチペダルが加わり操作がそれだけ面倒になる。「海外で運転するときはMT車」「仕事で使うのはMT車」という理由でMT車を薦める人もいるが、国内ではMT車はほとんどないし、操作が面倒だと思った私は迷わずAT車を選択した。

教習所生活

教習所では、第一段階→修了検定→第二段階→卒業検定の順で教習が進んでいく。第一段階、第二段階はともに「学科教習」と「技能教習」の同時並行だ。学科は教科書やビデオを用いて、標識の意味や右左折のタイミングなどを頭に入れる。学習内容は多岐に渡るが、学科教習は一コマ50分で、大学での退屈な90分講義に比べると大分楽である。技能教習は実際に車に乗っての教習である。こちらも一コマ50分。第一段階では所内コースでカーブやバックなど基本的な操作から始める。この所内コースで悩まされるのが、S字カーブとクランクだ。前者は文字通りS字状に湾曲した道路、後者はジグザグになった道路である。ハンドルを切るタイミングが遅れたり、切りすぎたり切り足りなかったりすると、道路から車がはみ出して脱輪してしまう。こんな形状の道路なんか滅多にないやろと思いつつも、修検を合格して第二段階に移行するためにはこの二つを突破しなければならない。無事に卒業できるのだろうかと不安になり、普段歩いていても車を自在に操作するドライバーが殿上人のように見える日々が続いた。

修検に合格すると教習も第二段階に移行し、路上で一般の車に混ざって技能教習を受ける。路上教習は、やはり怖い。最高速度も所内コースではせいぜい時速35キロだったが、路上では40、50キロで走るのが当たり前になる。路上駐車や赤信号で無理に横断する自転車に気を配りながら、他の車の通行を妨げないようにするのはなかなか難しい。

路上での運転にもそろそろ慣れてきた頃、最後の関門である卒業検定に突入する。教習所から行って帰ってくるまでの運転を見られるわけだが、普段の教習通りに運転していればまず合格する。卒検コースの道順は指導員が言ってくれるので、コースを完璧に暗記する必要はないが、標識などについては何も言わない。ということで、卒検前日には「止まれ」の標識がコースのどこにあるかを調べておくことをお薦めする。「止まれ」の標識があるところでは、そのそばに引かれている停止線の前で一時停止しなければならない。うっかり素通りしてしまうと、指導員に補助ブレーキをガンと踏まれ、そこで検定終了である。卒検コースは何種類かあり、自分がどれを走ることになるかは卒検当日のお楽しみである。全コースについて「止まれ」の標識がどこにあるかを事前に把握した方が安心だ。

本免試験

卒検に合格して教習所を卒業すれば、後はもう本免学科試験だけだ。試験会場は住民票がある都道府県の運転免許試験場だ。○×式の筆記試験で90点以上得点すれば合格となる。教本片手にネット上にある過去問を解いていれば合格できるが、試験所では不合格の人もそこそこいたので、気を抜かずにしっかり勉強しておこう。不合格になったら合格するまで試験場に足を運ばなければならない。めでたく本免試験に合格すればその日のうちに免許証が交付され、免許取得生活から解放されるのである。(築)

免許のためのお勉強

免許取得に向けて、もちろん避けて通ることのできない道。それが学科試験である。免許取得までの試験行程については割愛するが、ここでは学科試験対策として筆者が行った勉強について紹介する。

筆者の通っていた教習所では、そこに通う全ての教習生に対して一冊の問題集が配られた。教習所がある県の本免学科試験の過去問を参考にして作られており、難 易度は高くはないと思われる。しかしいくら簡単だとは言っても、決して侮ること無かれ。試験に合格するためには全国共通で100点満点中の90点が要求さ れる。当然些細なミスが命取りになる。試験に落ちれば追加の学科の授業を受けさせられたり、筆者が通っていたような合宿免許の場合は、延泊といって卒業が 伸びてしまうこともある。「免許の試験なんて常識で取れるよ」と言う人もちらほらいるように思われるが、スムーズな免許取得を目指すなら、しっかりとした 対策が必要になる。

まずは手っ取り早く、問題集を完璧にすることから始めよう。既存の知識量の差にもよるが、対策ゼロの状態からスタートしても解 ける問題も相当数掲載されているだろう。筆者の場合は、6〜7割弱程度の問題に一回目で正解することができた。あとはひたすら間違えた問題をテキストで確 認し、与えられた問題集を完璧にした。あとは学科を受けてその都度復習をしていき、ミスをしないように注意して試験を受ければ、合格点は突破できると思わ れる。

あとは知識が抜けていかないように、復習を欠かさず行いたい。仮免学科試験、卒業検定まで一発で通ったものの、復習を疎かにしたために本免 学科試験でまさかの不合格、という例もある。かく言う筆者も98点で卒業検定をパスしたが、本免学科試験は92点でギリギリの合格であった。復習を疎かに した良い例である。

決して油断すること無かれ。どんなに力のある者でもミスはする。それを限界まで減らすために、免許取得の瞬間まで、気を抜かないことが大切だ。(草)

エンジョイ! 合宿免許

本特集の教習所体験記は「通い」で免許を取得したものだが、ほかにもどこか遠くの地で合宿をしながら免許を取得する方法がある。合宿免許の最大の魅力は2~3週間という極めて短期間で免許を取得できることにある。料金は通学免許とあまり変わらないにもかかわらず、合宿期間中のホテルもしくは寮とご飯が提供されるので、トータルで考えれば安いと言える。ただし、教習の時間割は自分で組むことができず、すべて教習所から指定された時間になるため、何時間もの空きコマができたり、逆に一日のほとんどが教習になったりすることがある。

それでも合宿は楽しい。なにしろ、自分とは全く縁のない土地で数週間に渡って生活するのである。教習がない日には、近くの観光施設を見に行ったり、その地域の名物料理を食べに行ったりできる。教習所によっては自転車を貸してもらえる場合もあり、それで空きコマに教習所の周辺をサイクリングできれば気晴らしにもなる。友人たちとグループで参加すれば毎日が修学旅行のように楽しく、長期休暇の素晴らしい思い出になる。教習所によっては休みの日にツアーを組んで、無料でクルージングやテーマパークに招待してくれることもある。長期休暇、特に大きな予定が入っていないようならば、合宿免許がオススメだ。

ここで、一つ注意しなければならないことがある。教習所が小規模で教習生が少ない場合、一人で参加すると教習所内の人間関係に精神を削られる可能性があるのだ。

私の通っていた教習所では、教習生が同時に20人程度入所する。その中は学校のクラスさながらに、2~5人ほどのグループに分けられる。合宿はグループで来ている人が多く、もともと存在する2人グループがいくつか合体した塊に、独り参加の教習生が加わる感じだ。合宿期間中は宿泊施設から教習所までのバスの予約やスケジュール確認など、一人で把握するのは大変で、話せる相手を数人作っておかないと後々面倒なことになりかねない。

ただ、本音を言えばコミュニティを作ってからも面倒なことは多い。全国各地からくる教習生の間では、価値観が違っていることが多い。同じくらいの学力の人が集まる高校や大学、共通の趣味を持った人たちの部活やサークルなどでは味わうことのできない違和感を抱く。そしてこれは二週間以上にわたる合宿期間中に積み重なり、心身に支障をきたすこともありうる。

余計なところで精神を削られないためにも、できれば腹を割って話せる友人と一緒に入所しよう。普段と違った形で、友を持つことのありがたみを感じられるはずだ。(草・通)

AT or MT?

教習所選びを終えていざ申込もうとしたとき、誰もが「AT車限定」免許にするかMT免許にするかの選択を迫られることとなる。これらは何が違うのだろうか。

そもそもAT車とはAutomatic Transmission車の略で、ほかにMT車、すなわちManual Transmission車が存在する。MT車はクラッチペダルが存在する自動車のことで、運転者席の足下には左からクラッチペダル・ブレーキペダル・アクセルペダルの3つのペダルが存在する。運転者はこのクラッチペダルを使いながら、ギアを切り替えて自動車の速度を調整する。そして、このクラッチ操作を自動化してクラッチペダルを無くした自動車がAT車である。つまり、AT車の運転者席の足下にはペダルが2つだけで、減速するならブレーキペダル、加速するならアクセルペダルを踏めばよく、運転操作がMT車に比べて非常に簡単である。

しかし、MT車が運転できないのは何となく不安な気がするだろう。そこで、どちらを選べばよいか考えてみよう。まず、教習料金に関して、AT車限定免許を取得する方が教習時間は3時間短く、料金も1~2万円安い場合がほとんどだ。それだけ早く卒業して免許が取得できるため、経済的だ。

次に、教習が始まってからのことを考える。第一段階の終了検定では坂道発進が必ず課題になる。この坂道発進、MT車だとなかなか上手くいかず、何度もエンストしてしまいかねない。具体的には、半クラッチ状態でパーキングブレーキを解除して発進するのだが、感覚に頼る部分が多いため、半クラッチになっていないままパーキングブレーキを解除して後退してしまうことがある。ところがAT車ではアクセルペダルを踏みながらパーキングブレーキを解除するだけで発進でき、またAT車特有のクリープ現象もあって、失敗することはまず無いだろう。クリープ現象とは、ブレーキを解除しただけでアクセルを踏まなくてもゆっくりと車が動くことだ。MT車にはこのクリープ現象が無いため、第二段階で公道に出てからも上り坂で停車するたびに苦労することになる。

ここまでMT車のデメリットばかり書いてきたが、メリットもある。それは燃費の良さと車両価格の安さだ。ところが近年は、変速機が存在しないハイブリッドカーや無段変速機(CVT)を搭載する車が増えてきたため、そもそもMT車が選択できない車種が増えてきた。現在では大型バスでさえも一部の車種で、AT車しか選択できないものが存在し、軽トラと趣味的なものを除けばMT車はもはや風前の灯火なのかもしれない。

免許証に関しては、AT限定免許を取得した場合、免許の条件等の欄に「普通車はAT車に限る」という文字が入る。MT免許であればそのような文言は書かれない。

結局、どちらを選ぶべきか。私は断然AT限定免許をお勧めする。MT車を運転する機会について考えてほしい。自宅の車もAT車だろうし、レンタカーもほとんどがAT車、将来マイカーを購入するならばどうせAT車を選ぶだろう。そんな中敢えてMT免許を取得する必要がどこにあろうか。教習時間も長いし、費用も高い。そんなことなら早く卒業して、浮いたお金で飲み会にでも行った方が有意義だ。

ちなみに、AT限定免許の限定解除というものがある。費用の面で言えば最初からMT免許を取っておく方が断然安上がりだが、万が一MT車を運転する必要に迫られた際の参考にしてほしい。(通)

特集② 運転 ひとりでできるもん!~琵琶湖一周編~

多くの人が大学生のうちに取得する自動車免許。かなりの時間とお金を使って掴み取る、貴重な資格の一つだ。しかし、京都という公共交通機関の発達した街では、車を使う機会は極端に少ない。取得したはいいものの、下宿先で自分の車を持てず、長期間運転する機会がないままというのが多くの京大生の実情だろう。だが、いつかは自分の車を持つことにもなるし、できるだけ自力で運転できるようになったほうがいい。時間のある大学生のうちに、運転経験、運転技術、運転への自信を少しでもつけておきたいところだ。

そこで、昨年免許を取ったばかりの筆者も免許取得の次のステップとして、1人ドライブに挑戦してみた。誰にも頼れない状況での運転に対する不安から、なかなか一歩を踏み出せない人もいるだろう。しかし、1人で運転できたという達成感は確実にのちの運転への自信につながるはずだ。今回は筆者の地元滋賀県が誇る「琵琶湖一周」をコースとして設定した。1人ドライブの体験を通して運転の難しさ、運転の楽しさについて伝えられれば幸いである。(真)

初心者マークを忘れずに

琵琶湖一周コースは全長およそ200キロ強、平均時速40キロで走り続ければ5時間程度で回れるコースである。実際はこれより速度が落ちるし、途中休憩をはさんだりするのでもう少し時間はかかるが、それでも一日かければのんびりとドライブすることができる。

まずは運転準備から。忘れてならないのが初心者マークである。もはや説明不要なことかもしれないが、運転免許取得後一年間は初心運転者期間といい、必ずこの初心者マークを車の前と後ろに貼って運転しなければならない。これを貼り忘れたまま運転し、もし警察官に免許証の提示を求められるようなことがあった場合、違反運転として罰金、減点の処置がなされる。なお、1年を過ぎても運転に自信がない人は、継続して初心者マークをつけたまま運転することが可能。初心者マークを失くしても、100均などで買うことができる(筆者もこのドライブの一日前に両親と試し乗りをしていた際、強風で前方の初心者マークが飛んで行ってしまい買いなおすはめになった)。

また、これだけ長距離のドライブとなるとガソリンの残量にも気をつけなければならない。ガソリンの給油の仕方は、実は自動車教習所の教習課程に入っていない(4面「ぜひガソリン教習を」参照)。説明があったとしても、さらっと口頭でしか教えてくれないし、今時セルフのガソリンスタンドが多いので、いざ自力でガソリンを入れる場面になった時戸惑うこともあるだろう。また、教習所の指導員によるとたまに軽自動車に入れるガソリンを軽油だと思っている人もいるらしいので(もちろん、普通の自動車はレギュラーガソリンでよい)、勘違いしていた人は注意されたい。

湖の見えない湖岸道路…

そうした準備が整ったところで、ようやくドライブの開始である。筆者の実家がある滋賀県北部の長浜市(ちなみに長浜市は地図上で見ると非常に広いが、スタート地点は南部の長浜駅付近)から、午前9時ごろ反時計回りでスタート。市街地を少し抜けて湖岸道路に入ると、しばらく湖岸沿いの一本道が続く。湖岸道路は信号もほとんどなく、速度制限の標識もないため、ほとんどを法定速度の60キロで進むことができた。

最初はスピードを出すことに戸惑いがちだったが、60キロを切った速度で走ると後ろが詰まってくる。「湖岸道路はほぼ高速道路(教習所指導員談)」と言われるぐらいで、80キロオーバーのスピードで私を追い抜いていった車が何台かあったほどだ。そこまでのスピードは出さないにしても、ある程度速く走らないと流れに乗ることができず、後続の迷惑になってしまうので注意したい。できるだけ60キロ前後で様子を見ながら走ったほうがいいだろう。

さて、湖岸沿いの道が終わったところ、つまり琵琶湖北端に入ったあたりから、少し注意が必要になってくる。しばらくは道なりに進んでゆけばよいのだが、気がつくとトンネルに入り、見渡せば田んぼばかりの道になるのだ。一応湖岸道路という名前が付けられているが、忠実に琵琶湖の形に沿って道が整備されているわけではなく、特に琵琶湖の北端の道は、もはや琵琶湖など見えない山道を通らなければならないところもある。筆者は地元の道で何度か通ったことがあり比較的スムーズに進めたが、このあたりの道は予めマップなどで経路を確認しておき、曲がる箇所くらいはチェックが必要かもしれない。

ここでちょっとしたハプニングが起きた。できるだけ琵琶湖の見える道を進もうとしたのだが、いつの間にか明らかな山道に入っていた。そして筆者の車の前に立ちはだかったのが、「残雪の影響で通行止め」という看板。どうにかして切り返しをしなければいけなかったのだが、若干焦ったのがその通行止めされた道幅の狭さ。車一台がぎりぎり通れるくらいの細い道だったので、うまくバックを駆使して切り返せるか不安になった。幸い後続に車の気配がまったくなかったので、しばらく時間をかけながらなんとか元の道に復帰することができた。こうした経験も田舎道ならではのものだろう。

その後は仕方なく回り道をしながら山道を抜け、いよいよ湖西方面に入る。ここからは再び琵琶湖沿いの道を進み、多少信号はあったものの順調に進むことができた。途中道を間違え、民家に挟まれた狭い道をゆくこともあったが、素直に進んでいけば快適にドライブできるコースである。

出発した長浜市と対岸にある高島市に入ったあたりが、距離にしておよそ70キロ弱。ほとんど休憩なく走り続けていたので、出発からまだ2時間程度といったところだった。思っていたよりも早く着くことができたので、白髭神社に立ち寄ることに。白髭神社は名前から想像できるように、長寿の神様がいる神社として有名で、国の重要文化財にも指定されている。この白髭神社、湖中に浮かぶ大鳥居が観光名所とされている。水上に浮かぶ鳥居と言えば、広島の厳島神社が知られているが、この白髭神社はそれにちなみ、「近江の厳島」と呼ばれたりすることもある。この鳥居が湖上に浮かぶ理由は諸説存在するが、詳しいことは分かっていない。車を停めずとも、湖岸沿いの道を進んでいけば必ず目に入るので是非一度見てほしい。

神社へ参拝した後は、近くのそば屋で昼食をとることに。この辺りはそばが有名で、ほかにも食事に入るところは何軒かあるが、それまでに通ってきた湖北、湖西の北寄りの地域はお店の数も少ないので昼食をとる際は注意しておきたい(琵琶湖南端の大津、草津あたりまで行けば食事には困らないだろう)。

一周コースは唐橋を渡るべし

1時間ほど休憩をとったらドライブ再開。しばらくは今まで通り琵琶湖沿いの一本道が続いていくが、琵琶湖大橋が見えてきたあたりからスムーズな走行ができなくなる。依然琵琶湖が見える道なので道に迷うことはないが、少しずつにぎやかな街並みが続いていき、車通りが激しく信号の数も多くなるのだ。特に、筆者が通ったお昼時、そして夕方ごろになるとかなり渋滞気味になってくるので、できるだけこの時間は避けて運転した方がいいかもしれない。

また、前述の琵琶湖大橋も少し注意が必要である。琵琶湖は、北端は素直に通っていけば一周ルートを通ることができるのだが、南端の場合、途中から他府県に流れる瀬田川に分岐していくため、どこかで湖を横断しなければいつの間にか京都まで行ってしまうことになる。そこで、その瀬田川と琵琶湖の分かれ目付近にあるのが、唐橋という橋であり、南端はこの唐橋を渡ることで琵琶湖一周を達成したことになる。

琵琶湖一周ということに特にこだわりがない人であれば、琵琶湖大橋、もしくはもう少し南にある近江大橋を渡たれば早く周回できてしまうのだが、完全な琵琶湖一周を目指す人は注意してほしい。さらに、この唐橋という橋は、琵琶湖一周コースの南端となっている割には他の二つの橋よりもかなり小さいので、近くまで行かないと存在に気づかないかもしれない。ここも予め地図なので確認しておいた方がいいだろう。

さて、唐橋を渡ったあたりで、午後1時過ぎ。ここから再びスムーズなドライブコースが続く。湖東地域の湖岸道路は市街地とは比較的離れたところに整備されており、そこまで車通りも多くなく、かなり快適にドライブを楽しめた。ただ、ドライブ序盤と同様、かなりスピードを出さないと流れに乗れなかったため、気がつくと70キロを超える走行にもなりがちだった。速度の出しすぎには注意が必要だろう。

彦根付近で再び渋滞にあったものの、後半はかなりスムーズに進みそのままゴール地点の実家に到着。午後4時前に到着したので、約7時間のドライブとなった。休憩等を除けば、実質5~6時間程度の運転なので、ほぼ計画通りに進むことができたと言える。筆者にとっては地元の道で、ある程度行程を知っていたということもあるだろうが、多少迷ったとしても一日あれば確実に帰ってこられる距離だと思う。

ガソリンの減り具合から計算して琵琶湖一周ドライブの費用は約1500円分。予算的に見れば他の交通手段よりもかなり安くつく。環境のことなどを考えるとあまり頻繁に車を乗り回すのもよくないかもしれないが、こうしたドライブの練習やちょっとした旅行の時などは車が最適な移動手段になると思う。今回は1人ドライブへの挑戦というテーマで運転してみたが、もちろん友人などを連れてにぎやかに行くのもよいだろう。今回はさほど紹介しなかったが、滋賀にはさまざまな観光名所があるので、ドライブがてら是非訪れてほしい。

知らぬ道をゆく楽しさ

免許を取得した次の段階として挑んだ琵琶湖の一周だったが、もっとも身に付いたと感じられるのが運転に対する自信である。もっといえば、ある程度知らない道でも運転できる自信が付いたような気がする。地元である琵琶湖一周コースとはいえ、ある程度下調べは必要だし、実際何度か道を間違える場面もあった。それでも、標識等を確認しながら自力で目的地までたどり着けたことには大きな意義があったと思う。

筆者はそれ以後も大阪などに足を運び、1人で運転する機会が何度かあったのだが、かなり余裕を持って運転できたような気がする。もちろん見知らぬ土地での運転はかなり不安なもので、実際何度か道に迷ったりもした。しかし、ある意味その道に迷うこと自体が楽しく感じられるようになったのが大きな変化だった。知らない道を試行錯誤しながら進むことが、子どものころ自転車でしていたような街探検と何となく似ていて、懐かしさを感じることができたからかもしれない。

また、これは筆者だけかもしれないが、同乗者がいる状態では、なんとなく運転しづらさを感じてしまう。道を間違ってしまった時や下手な運転をした時に彼らに対してどこか申し訳ない気持ちが生まれてきてしまうのだ。一方、1人ドライブならそうした懸念も一切なく、プレッシャーから解放された状態でのびのびと運転できるのだ。

ただ一つだけ注意しなければならないのが、車の運転にはある程度責任が伴うという事である。幸い、筆者は今のところ無事故無違反だが、これまで2、3度ひやっとする場面には遭遇したことがある。余裕を持って運転できる反面、油断してしまう場面も多くあるということだ。実際、免許取得後すぐよりも、少し運転が慣れてきて安全確認などが疎かになる今のような時期の方が事故の確率が高くなる。

今回の特集は1人ドライブの勧めだったが、やはり不安があるうちは同乗者がいた方が安全だし、1人で運転する場合にも十分な安全確認をしなければいけない。筆者もドライブの楽しさを感じることができたと同時に、ある種初心に帰って安全運転の心がけを思い出すこともできた。非常に意義のある経験になったと思う。(真)

特集③ 教習所の必要性を探る

確実な免許取得のために

運転免許を取得しようと思った場合、多くの人は教習所へ通うことを考える。ところが、なぜ教習所へ通うのかを知らないまま、教習所に申込む人は意外と多いのではなかろうか。そんな方のために、教習所に通うメリットを紹介したい。

指定自動車教習所とは公安委員会が指定するもので、ここを卒業すると運転免許試験場で免許を取得する際の3つの試験(適性試験・技能試験・学科試験)のうち、実際に自動車を運転する技能試験が免除される。つまり、適性試験(視力検査や聴力検査など)と学科試験(法令等に関する正誤問題)に合格すれば運転免許証が交付されるのである。ただし、運転免許試験場で技能試験が免除されるのは、指定自動車教習所を卒業する際に卒業検定をクリアすることで技能試験を合格したとみなされるからであり、免許取得のプロセスにおいて運転技能に関する試験が完全に無いという意味ではない。しかし、指定自動車教習所における卒業検定の採点は、運転免許試験場の技能試験よりも甘いと一般にはいわれている。というのも、卒業検定のコース自体が普段の教習で走り慣れた道であり、試験官も顔見知りという場合もあって、運転免許試験場よりも気が楽なのは確かだろう。

ここまで指定自動車教習所について書いてきたが、自動車教習所にはこのほかにも届出自動車教習所というものがある。ここでの教習内容は指定自動車教習所ほど厳格には定められておらず、あくまで運転免許を取得するための練習をさせてくれる場所という感じである。これを利用するメリットとしては指定自動車教習所に通うのに比べ、順調にいけば短期間・低料金で免許が取得できることにある。しかしながら、この届出自動車教習所を卒業しても運転免許試験場での技能試験は免除されない。

では実際にどのくらいの人が指定自動車教習所に通ったうえで運転免許を取得するのか。『運転免許統計 平成24年版』にある運転免許試験合格者の内訳を参照すると、この年の普通自動車第一種免許取得者は指定自動車教習所の卒業者が約117万人、一発試験や届出自動車教習所の卒業生などが約2万7千人であり、指定自動車教習所に通う人が圧倒的に多いことがわかる。これは何も普通自動車第一種免許に限った話ではなく、普通自動二輪第一種免許や大型自動車第二種免許などに関しても同様である。

このように、運転免許を取得するにあたっては指定自動車教習所に通う人が大半であり、それが無難な方法だと言えるだろう。

教習所へ通わない方法

教習所に通わずに免許を取得するのは、最も安価な方法であるといえる。それは一発試験と呼ばれる方法だが、実際には一発では終わらない。まず仮免許を取得し、それから本免許を取得し、指定自動車教習所等で取得時講習を受講して、運転免許試験場へ行ってようやく運転免許証が交付されるという四段階を踏まなければならない。

指定自動車教習所の卒業生とは異なり、運転免許試験場では技能試験にも合格しなければならない。この技能試験、指定自動車教習所における卒業検定に相当するが、卒業検定では教習所の指導員が試験官であるのに対し、こちらは警察官が試験官である。つまり、助手席に警察官を乗せて運転するわけだ。その警察官が採点をするのだが、これが教習所の指導員の採点に比べて厳しいと聞く。

そこで、一発試験の対策として練習場を借りたり届出自動車教習所に通ったりするわけだ。もちろんその場合も指定自動車教習所に通う場合と比べれば安くつくが、「安さ」という一発試験最大のメリットが徐々に薄れていくことに気が付くだろう。それに、届出自動車教習所に通わずに一発試験を受験して不合格だった場合には、試験終了後にワンポイントアドバイスをもらうだけで、なぜ不合格だったのかイマイチわからないままになる。不合格の理由を自覚していれば問題ないが、心当たりがないまま再度受験したところで合格できるだろうか。その点、届出自動車教習所に通っていれば、不合格になっても教習簿に不合格理由が書かれるため、再受験に向けた対策を行いやすい。

いずれにせよ、一発試験は難しいと言われる。運転免許を取得した後、旅行や買い物など、様々な状況で自動車を運転することを考えると、指定自動車教習所できっちり運転技術を教わるに越したことはないだろう。(通)

番外編 ぜひガソリン教習を

指定自動車教習所における教習の内容は「指定自動車教習所等の教習の基準の細目に関する規則」によって定められている。たとえば高速教習は本規則で義務付けられており、教習所では実際に高速道路を運転する教習が行われる。ただし、離島である等の事情でこれが不可能な場合は運転シミュレータで代用する場合もある。当然ながらこの高速教習は昔から存在したわけではなく、1994年に義務化された。このように、教習内容は時代の要請に応じて少しずつ変化している。

ところで、先日私は自宅の車でガソリンスタンドに寄った。もちろん安いほうがいいのでセルフ式スタンドだ。まず、車内から給油口を開けるためのレバーを引く。スタンドに書いてある手順に従って給油を完了させる。そしてキャップを閉じてふたを閉め、エンジンを掛けて出発。静電気でエンストしないか、ガソリンを地面にこぼしてしまわないか、いろいろなことを考えて緊張した10分間であった。ところが、家に帰って母に確認してもらったところ、給油口のキャップが閉まっていないという。十分に閉めたつもりであったが、どうやらカチッという音がするまで回さなければならなかったらしい。

1998年の規制緩和からセルフ式のガソリンスタンドが増加した。それまではガソリンスタンドといえば給油ノズルの届く範囲に車を停めて、窓を開けてエンジンを切り、ガソリンスタンドの係員に「レギュラー満タンで!」と言えばよかった。それが、今ではセルフ式のスタンドが増え、またそちらのほうが安いこともあり、自分で給油するケースも多くなった。これらを考えたときふと思ったのだが、セルフ式ガソリンスタンドでの給油の練習を教習に組み込んで欲しい。私が鈍臭いから「キャップが閉まり切っていない」などという初歩的なミスをしてしまったのかもしれない。だが、セルフ式ガソリンスタンドの使い方を教習所で習っていれば、あんなに緊張しなかっただろうし、キャップもきっちり閉められたかもしれない。

次に規則を改正する際には、セルフ式ガソリンスタンド教習の義務化についても是非考えて頂きたいものだ。(通)

関連記事