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多色LEDの開発に成功 医療分野への応用を期待

2008.02.16

工学研究科電子工学専攻の川上養一教授、船戸充准教授らの研究グループは、日亜化学工業と共同で、蛍光体を使わずに白色を含む多彩な発行色を提示するLED(発光ダイオード)作成に世界に先駆けて成功した。このLEDは、エネルギーロスのより少ないもので研究成果は応用物理学会の科学誌「Applied Physics Express」創刊号に掲載される。

今回の研究では、GaN(窒化ガリウム)結晶を再成長させたものを発光源として使用した。GaN結晶は各結晶面から異なる発行色が得られる。この結晶を並べ、その発光を混ぜることにより、さまざまな発光色を実現することができた。

現在主流の青色LEDは白色を出すのに黄色の蛍光体を用いているため、エネルギーを3割ロスしていた。今回実現したLEDは、蛍光体を用いずに白書9区を出すことが可能なため、そのエネルギーロスも避けられる。

実用面では、マイクロ構造を事前に組むことにより、用途に合わせた発光色を実現できる。また、原理的には流す電流を変えることにより、外部装置を用いて色調を調節することも可能だという。今回の研究は医療応用に向けて行われたもの。ガン組織と通常組織の見分けや、バイパス手術の際の動脈静脈の見分けなどに応用したいという。

川上教授は「(研究の一部は)清水寺などの夜間ライトアップにも使われている。宗教的な荘厳さなどを出すのに中間色は適している」と語った。

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