〈京大知伝〉数学の作問で「生きた証」遺す 京大作サー 宇野誉さん(理・2)
2026.03.16
宇野さんと、自身の傑作とのツーショット
多くの場合、作問のアイデアはある日突然降ってくる。「分野にとらわれない、斬新なアイデアを求める問題」を目指し、一昨年より、円周角の定理や方べきの定理といった初等幾何を空間において利用する問題の制作を開始した。平面が主な初等幾何の問題を3次元で扱うことで「文脈を破壊したかった」。特に、昨年の問題は、作サーがNFの名を冠して実施した大会で最終問題に選出されたうえ、「立体でも平面の問題で展開していた面白い議論ができる」証拠ともなり、自身の傑作となった。
実は高校の頃も作問していた。ただ作サーに入って、他の人のアイデアを作問という形に落とし込む楽しさを知った。「無限の才能。略して無能」というNFのテーマで問題を作れないかという話を聞き、作問したこともある。作問は一人でも完結する行為だが、一人だと作れなかった問題もあると気付いた。
作サーでは、数学と理科(物理・化学・生物・地学)について京大模試を作成している。京大の本試に寄せるため、作問範囲は頻出の分野に絞る。そのうえ数学では、▼発想▼計算▼記述の3つの軸を設け、会員同士で各々を5点満点として模試候補の問題を評価する。数学の得意な団員の作問とあって手強い問題ばかりが揃うため、受験生向けに総計点の低い問題を主に選抜するが、高難度の模試であることには変わりない。「平均をとったら京大の本試の方が簡単かもしれません」。
また、模試作成の他に、京大入試の数学の解答速報も手掛ける。ただ、「今年の難しさは過去一」。例年は1時間半で出せていたが、今年は2時間を要するなど、かなり苦戦した。AIの方が先に速報を出していたというが、「その質は今ひとつ。我々はたくさん解法を提供することで、速報の質を高めています」。
作問という行為は「芸術活動の一種」。その人の生き様が表現されている。証明問題の終わりに記載する「墓石記号」になぞらえて、「作問とはその人の生きた証であり、墓標です」と微笑んだ。滋賀県出身。(郷)

