引退は認知機能にプラスに作用 効果には個人差も
2026.03.16
井上浩輔・医学研究科教授らのグループは、仕事から引退した人の方が働き続けている人よりも多く単語を記憶でき、引退が認知機能を維持・改善する効果をもつことを示した。高齢化に伴い年金支給年齢の引き上げが検討されるなか、退職というライフイベントを境に、健康格差が拡大する可能性を示唆する結果だ。
引退が高齢者の認知機能に与える影響については個人差が大きく、先行研究でも一致した結果が示されてこなかった。
グループは健康・医療をテーマとする大規模縦断的調査に参加した、欧米19カ国の50~80歳を分析対象とし、2回調査を実施。1回目で引退の有無を確認し、2回目で単語記憶テストにより認知機能を測定した。分析には最新の機械学習モデルを用い、引退が認知機能に与える影響の個人差を明らかにした。分析対象の約7400人のうちおよそ3割が引退しており、分析の結果、引退した人は働き続けている人より平均で1・3語多く単語を記憶していた。しかし、この数値には個人差があり、全体の1%ほどの人は引退すると認知機能が下がるという結果となった。また、引退による認知機能の改善効果が特に大きいのは、女性や高学歴・高資産の人、引退前に運動習慣があった人だと明らかになった。
グループは、引退後に認知機能が改善する理由として、仕事上のストレスから解放されること、余暇が増えて健康投資ができることが考えられると指摘。また特に効果が大きい人に関して、認知機能改善の理由は、女性は男性より人付き合いが活発であること、高学歴の人は知的労働による刺激が引退後も継続的に効果をもつこと、高資産の人は健康投資にお金を回せること、運動習慣があった人は引退後も運動を継続することだと考えている。そのうえで、本研究は引退後の過ごし方の違いによって、健康格差が拡大する可能性を示唆するものだとした。
本研究結果は昨年11月24日に国際学術誌「International Journalof Epidemiology」に掲載された。
引退が高齢者の認知機能に与える影響については個人差が大きく、先行研究でも一致した結果が示されてこなかった。
グループは健康・医療をテーマとする大規模縦断的調査に参加した、欧米19カ国の50~80歳を分析対象とし、2回調査を実施。1回目で引退の有無を確認し、2回目で単語記憶テストにより認知機能を測定した。分析には最新の機械学習モデルを用い、引退が認知機能に与える影響の個人差を明らかにした。分析対象の約7400人のうちおよそ3割が引退しており、分析の結果、引退した人は働き続けている人より平均で1・3語多く単語を記憶していた。しかし、この数値には個人差があり、全体の1%ほどの人は引退すると認知機能が下がるという結果となった。また、引退による認知機能の改善効果が特に大きいのは、女性や高学歴・高資産の人、引退前に運動習慣があった人だと明らかになった。
グループは、引退後に認知機能が改善する理由として、仕事上のストレスから解放されること、余暇が増えて健康投資ができることが考えられると指摘。また特に効果が大きい人に関して、認知機能改善の理由は、女性は男性より人付き合いが活発であること、高学歴の人は知的労働による刺激が引退後も継続的に効果をもつこと、高資産の人は健康投資にお金を回せること、運動習慣があった人は引退後も運動を継続することだと考えている。そのうえで、本研究は引退後の過ごし方の違いによって、健康格差が拡大する可能性を示唆するものだとした。
本研究結果は昨年11月24日に国際学術誌「International Journalof Epidemiology」に掲載された。
