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タテカン 大阪高裁 職組の控訴棄却 尾池元総長の発言は「個人的感想」

2026.03.12

タテカン 大阪高裁 職組の控訴棄却 尾池元総長の発言は「個人的感想」

判決後に「不当判決」と掲げる細見教授(左)と坂梨准教授=大阪高裁前

京大周辺の立て看板撤去をめぐり、京大の職員組合が京大と京都市を提訴した裁判で、2月26日、大阪高裁(長谷部幸弥裁判長)は職組の控訴を棄却する判決を出した。職組は尾池和夫・元京大総長の発言を引用して、看板設置には大学との間に法的拘束力を持つ「労使慣行」があったと主張したが、高裁は同氏の発言と陳述書を「個人的な感想」とし、労使慣行を認めなかった。職組は最高裁で争う予定。

これまでの裁判で、職組は労使慣行のあった理由として、尾池氏の「立て看板のある風景は文化的景観だ」といった発言を引用し、京大で総長を務めた同氏の看板への認識は大学の認識と同値だと論じた。昨年11月の口頭弁論時には尾池氏への証人尋問を要求していたが、高裁はこれを却下。判決では、同氏の発言は「あくまで立て看板一般についての個人的な感想」で、かつての京大生との「やり取り等に関するものにすぎない」とした。

職組は他の理由として、2020年7月の団体交渉で、看板設置における労使慣行の有無を尋ねた際に京大理事がこれを認めたことも挙げていた。これに対し大学は、理事は10年以上看板が設置されていた事実を認めただけで、労使慣行を認めたわけではないと反論した。高裁はこの点に関して、職組の質問が話の流れに関わらず「突然」であったうえ、一連の応答を除いて労使慣行に関する発言は両者からなかったため、労使慣行があった裏付けにはならないとした。

また職組は、看板を設置していた百万遍付近は、伝統的に表現活動や人々の意見交換の場だったと主張した。しかし、判決で高裁は、京大の敷地利用は大学の「行使する管理権に服する」うえ、人々の意見交換の場となったと「認めるに足りる証拠はない」との判断を示した。

大学は撤去の理由に屋外広告物条例を挙げている。職組は、条例では広告物の設置主体の認定方法について言及がないため、表現行為を差し控えさせる恐れがあると指摘した。一方の大学は、条例は「過度に広汎な規制」はしていないとして、これを否定した。判決では、条例が表現活動の委縮を招くとは言えないと判断した。

条例では、土地一区画当たりに設置可能な広告物の面積を制限する。職組は、大学が自身のポスターの一部をベニヤ板で覆うなどすれば、職組の看板を撤去しなくとも条例に適合できたと訴えたが、高裁はポスターを維持した大学の判断は、敷地管理権行使の裁量を逸脱したとは認められないとして、これを退けた。

判決について、京大は本紙の取材に対し、「裁判所において本学の主張を認めて頂いた結果だと理解している」と答えた。

17年5月、市は京大周辺の立て看板が条例に抵触するとして、京大を行政指導した。同年12月、京大は立看板規程を制定すると、18年と20年の二度にわたり、職組の看板を撤去した。これを受けて職組は、撤去が表現の自由や労働基本権の侵害にあたるとして、550万円の損害賠償を求めて市と大学を提訴した。25年6月に地裁判決が下り、京都地裁は職組の請求を棄却していた。

職組側「引き続き頑張る」


判決後、職組は中之島図書館(大阪市北区)で報告集会を開き、学生を含む30名以上が参加した。駒込武・教育学研究科教授は、判決では尾池氏の発言が「一個人の感想として切り捨てられた。残念で腹立たしい」と述べた。また、村山晃弁護士は「京大のタテカン文化の復活を目指して、引き続き頑張っていく」と、決意を新たにした。

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