ニュース

吉田寮のドキュメンタリーを上映 寮生「今後も支援続けて」

2026.02.16

吉田寮のドキュメンタリーを上映 寮生「今後も支援続けて」

パネルディスカッションで寮生らと談笑する藤川監督(中央左)

2月7日、時計台記念館の百周年記念ホールにてドキュメンタリー映画『対話のゆくえ 京都大学吉田寮』の上映会が行われ、学生や地域住民など約500名が鑑賞した。2017年に京大が寮生に退去を要請したことを受けて、翌年から藤川佳三監督が吉田寮での生活を撮影してきた。上映後のパネルディスカッションで、現在も京大は自治会との対話に応じない姿勢を続けていることを踏まえ、継続的な支援を求めた。

吉田寮の現棟は、1913年に建設された日本最古の学生寮とされる。これまで確約に基づき、寮自治会と大学の対話によって運営が行われてきた。しかし2017年12月、京大は「吉田寮現棟は耐震性を著しく欠き、極めて危険な現状にある」と表明し、寮生に翌年9月末までの退去を求めた。寮自治会は大学との対話を求めるも、京大は話し合いでの合意形成を拒み、18年夏に交渉の打ち切りを告げた。ドキュメンタリーでは、日常生活を軸に、寮の存続に向けてもがく寮生たちの姿を記録した。

上映後、藤川監督は「この映画を作るのはなかなか難しかった」と率直な手応えを明かした。18年に「吉田寮が危ない」と知人から聞き、活動を応援しようと映画の制作を決意したという。しかし、寮生から理解を得るのに苦労したうえ、撮影後も試作版の映像を見た寮生から指摘を受けて何度も試行錯誤を重ねたと振り返った。コロナ禍や裁判を経て、今回、初めての上映となった。

映画では、寮生が「対話はディベートのように相手を論破することが目的ではない」と語る場面がある。吉田寮の意思決定機関である総会は、全会一致を原則とする。禍根を残さない形でお互いが納得する結論を探ることが、吉田寮では重視されているというのだ。藤川監督は、この発言から吉田寮の自治を理解することができたといい、映画の方向性が見えたと語った。

19年4月には、京大は明け渡しを求めて寮生20名を提訴した。24年2月、地裁判決は退去要請前に入居した一部の寮生の居住を認めた。25年8月には、大阪高裁で和解が成立し、▼現棟を26年3月までに明け渡す▼京大が5年以内に耐震工事を行ったのち、被告の再入居を認める▼吉田寮食堂の利用を継続する、ことが決まった。継続的な協議が必要とされるも、京大との話し合いの場はないという。今後も寮自治会は、大学へ対話を求め、話し合いでの解決の道を探ると述べた。

関連記事