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京大生協 家庭教師の紹介 年内に終了 学習塾などの台頭で需要低下

2025.10.16

京大生協 家庭教師の紹介 年内に終了 学習塾などの台頭で需要低下

家庭教師の求人が掲載されている掲示板。寿司店などの求人とともに紹介されている

京大生協は10月、家庭教師の紹介事業を終了することを発表した。学習塾などの台頭による需要の低下が主な理由だという。近年、生協は経営難を抱えており、24年度末には累積赤字は2億円を超えた。本紙の取材に対し生協は、今回の紹介事業の終了は生協の事業見直しの一環だと答えた。事業は年内までに段階的に終了する予定。他のアルバイトの紹介事業は継続するという。

京大生協は2011年、京大学生センターから業務を移管される形で家庭教師紹介事業を開始。京大生の家庭教師を希望する家庭の求人を生協が掲示する。事前に登録した希望学生が、紹介状の発行を受けてから家庭に連絡を入れる制度だ。面接・採否の決定は各家庭に委ねられている。

事業終了の理由として生協は、学習塾やオンライン個別指導事業の台頭により、需要が低下していることを挙げる。2010年頃と比べると、家庭からの依頼数は半減しており、現在も伸び悩んでいるという。一方で学生の登録数は例年、依頼数の2〜4倍にのぼる状態が続いている。本紙の取材に対し生協は、23・24年度の収支は均衡状態にあるが、「生協の経営に寄与する事業としては成立していない」と答えた。その上で、継続的な赤字を受け事業を見直す過程で終了を決めたという。また、ミスマッチによるトラブルも毎年発生しており、家庭と学生の双方にとって良い結果を生まない状況も増えているという。

今後、家庭からの依頼の新規受付は10月末に、学生の新規登録は11月末に、紹介事業全体は12月末に終了する。契約中の家庭については契約期間満了まで対応するという。また、他のアルバイトについては、今後も紹介を継続するという。

生協による家庭教師紹介事業の終了は京大だけの事案ではない。同じく紹介事業をしていた北海道大学生協は24年3月に事業を終了している。紹介件数の少なさや学生・家庭の双方によるクレームが毎年発生していた状況を鑑みたものだという。本紙の取材に対し北大生協は「札幌市内の学習塾等で学生アルバイトが活躍するケースが圧倒的に多い」と回答した。

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