文化

〈寄稿〉百周年に寄せて 尾池和夫(京都大学名誉教授)「おめでとう! 京都大学新聞100年!」

2025.04.01

1925年に「京都帝國大學新聞」として誕生した学生新聞が今年で創刊100年目を迎えた。簡単なことではない。素晴らしい歴史である。京都大学構内に本拠を置く唯一の学生新聞団体として活動してきたのがこの京都大学新聞社である。

100年を記念してさまざまな企画があると思うが、京都大学新聞社では「第4回京都大学新聞文学賞」を開催するという。これは新聞100周年を記念したもので学内外を問わず広く短編小説を募集する。若い人たちに応募するように私も宣伝するつもりである。

京都大学新聞にはさまざまな記事が掲載されてきた。最近号の記事では「銭湯サークル 「輝く学生応援アワード」特別賞受賞市役所にて賞状授与」(2025.01.16)が面白かった。京都市代表で総合企画局総合政策室大学政策部長の西川千嘉子氏と賞状を手にする銭湯サークル代表者の写真も掲載された。「京都の町で活動に励む大学生団体を讃える「輝く学生応援アワード2024」の表彰式が、12月19日に京都市役所で実施された。式には、特別賞を受賞した京大銭湯サークルの代表者が出席し、賞状を受け取った」という。「京大銭湯サークルでは、銭湯を地域コミュニティとして復活させるべく、銭湯の清掃活動や、銭湯関連のイベントのサポートを行っている。こうした活動が、銭湯に新しい価値を見出し、地域に銭湯を根付かせていると評価され、特別賞「磨いたタイルに笑顔が映ったで賞」を受賞した」という。

京都市内の銭湯にはさまざまな面がある。京都大学の近くでやはり100年にわたって学生たちに愛される「東山湯温泉」(京都市左京区)がある。ビートルズファンの主人が経営する。京都大学に入学して銭湯通いをするために風呂のない熊野寮にわざわざ入る学生がいる。私が京都大学で仕事していたとき、長い間の議論の末にようやくシャワーが使える寮になったと記憶しているが、それでもたくさんの学生たちが銭湯のお世話になる。

「長者湯」のように薪を焚いて井戸水を湧かす銭湯もある。断層盆地の京都市の地下には豊富で良質の地下水があり、昔から銭湯にはその地下水を井戸で汲んで使った。薪で井戸水を焚く銭湯は今ではずいぶん少なくなったという。ちなみに天然かけ流し井戸水の「水風呂」も用意されている。今、敦賀から新幹線の延伸のルートについて議論が行われており、私も京都の地下水と京都盆地の構造や水と地震の関係などを講演することになっている。

地下水は地下で流れており、すべてつながっているから、日本人は井戸を大切にすることを昔から伝えてきた。その井戸に斧を捨てた人がいて、地下の神様の頭に刺さった。地下水の神様は怒って地上にときどき現れて毒の水を吐く。この美井戸神社「アンガー・フロム・ザ・ボトム」が小豆島にある。

京都大学新聞には私も何度か記事を書いた。キャンパス歳時記「複眼時評」(2002年12月1日号)では私の俳句も紹介した。

入学を待ち静かなる教授室 和夫

礼服やついでの花見いたしたる

花散りて地球科学を開講す

年末には熊野寮で餅つきが行われ、学生部の私の所にも、つきたての餡餅を届けてくれた。それがすごくおいしかった。

餡餅や自治の重みを噛み締めて

年が明けるとすぐ入学試験や卒業で忙しい。

解答用紙封印をして冬の月

教授会終へて落第生と会ふ

杉本恭子さんの『京大的文化事典自由とカオスの生態系』(2020年)に、1989年、京都大学新聞がサークルBOX特集を組んだとき、西部講堂などのことで、「国有財産は税金でつくられるのであり、特別に問題がないかぎり誰でも自由に使えるべきだ」という文章があったという記載がある。この京都大学新聞の表現は新鮮であると私は書いた。このような視点をいつまでも持った記者が活躍してほしいと、京都大学新聞のさらなる100年に期待している。


おいけ・かずお 京大や京都造形大、静岡県立大で学長を務めた。専門は地震学。

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