企画

〈百載無窮〉郵便受けが2つ

2025.04.01

※「百載無窮」のほかの記事はこちら

京大新聞には郵便受けが2つある。ひとつは、時計台の聳える本部構内、厚生課が入る赤れんがの建物にある、公認サークルの専用ポスト。もうひとつは、京大新聞のサークルボックスのドアに取り付けてある、紙でできた簡易的な郵便受けである。京大新聞が公式に使う住所「左京区吉田本町 京都大学構内」あての郵便は、専用ポストに届くので、ほとんどの郵便物はそこまで回収に行かないといけない。ボックスから大通りをはさんで距離があるし、ダイヤル錠の開け方を覚えておくのが面倒だ。

それでも、郵便を取りに行くのは嫌いじゃない。京大新聞のポストには、読み物がたくさん届くからだ。他大学の学生新聞から、むかし関わりがあった団体の会誌、献本を受けた書籍まで、あらゆる紙のメディアが毎日送られてくる。郵便物に目を通しながら、ボックスに帰る時間が好きだ。畑違いの分野の論文集を流し読みして、題目に踊る知らない研究手法がどんなものか想像したり、遠くの大学の食堂がリニューアルしたとか、どこどこの労働組合の春闘は要求の大部分が受け入れられたとか、自分とほとんど利害を共有しないニュースを眺めたりしていると、広い世界と緩くつながれた感じがして、少し楽しい。

ボックスの郵便受けは基本的には新聞受けの役割で、社で取っている新聞3紙が入っていることがほとんどだ。ボール紙の箱を扉に磁石で付けただけという、あまりにも心許ない見た目の郵便受けだが、毎日無造作に投げ込まれる新聞3冊の重みに今のところ耐えてくれている。とはいえ、寄る年波には勝てないのか、箱の端から破れて壊れかかり、新聞がぶら下がっているのをしばしば見かける。テープで補強しているとはいえ、いい加減新しくした方がいいかもしれない。

あて先を「左京区吉田泉殿町 京都大学西部課外活動棟B101」にしておけば、郵便物はボックスの郵便受けに届く。スペックに対して過重な負荷を強いられている郵便受けをいじめてみたいという読者のみなさん、よかったら重めの郵便をここに送ってみませんか。中に新聞の感想なんかを入れてもらえると、編集部が泣いて喜びます。(汐)

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