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総合研究推進本部を設置 組織統合で支援体制を強化

2025.02.16

1月1日、京大は既存の部署を統合し、執行部管轄の組織として総合研究推進本部を設立した。共用の研究設備の拡充や事務仕事を担う職員の配置などにより、特に若手研究者に対し支援体制を強化する狙いがある。1月9日の記者会見で湊総長は「総合研究推進本部が、昨年設置した成長戦略本部と連携し、自立的な大学経営に向けた好循環を形成したい」と期待を寄せた。

京大によると、これまでは12年に設立された学術研究展開センターが執行部や各部局の教員組織、研究者、事務組織のそれぞれの連携を支援していた。今回、同センター、事務本部組織である研究推進部、産官学連携により生じうる利益相反を管理する部署を「総合研究推進本部」として統合した。阿曽沼慎司・成長戦略本部企画管理部長によると、教員、専門職、事務職員が一体となった支援組織が執行部の直轄に置かれることは革新的であり、今後他大学のモデルになるだろうとの見通しを示した。

総合研究推進本部は、大学の将来構想や組織改革の戦略を立案、推進、調整する「プロボスト」の下に置かれ、研究費の獲得を担う研究プロモート部門や、独自の研究の評価指標を開発する企画部門など5部門から成る。現在、総合研究推進本部には100名の人員が配置されており、今後、必要に応じて人数を増やすという。本部長に就任した北川進理事は、研究の支援体制を拡充して「従来であれば社会に役立たないからと消してしまう研究のシーズ(種)を支援したい」と述べ、将来的に新しい分野やノーベル賞受賞者が生まれることに期待を寄せた。

総長、プロボスト、CFOによる意思決定体制の確立で、経営資源配分の最適化を目指す(報道資料より)



卓越大申請へ意欲


湊総長は京大のホームページに公開した年頭挨拶で、国際卓越研究大学の再申請に向けて全学的に議論と準備を進めていると明かした。国際卓越研究大学とは、社会変化をもたらす研究成果が期待される大学に、国の運営する大学ファンドが最大で年間数百億円を拠出する制度のことで、第1回公募では東北大が認定された。

湊総長は記者会見で、人への投資のための資金獲得に向け、卓越大制度に重要な役割があるとして「本気で応募申請をする」と意気込んだ。

京大が実施した教員対象のアンケートでは、若手教員の自由な研究や自立化の障壁、研究支援や研究設備共用化の不備など、研究環境への強い不満が示されたという。湊総長は、国からの運営費交付金の減少や、ピラミッド型の研究体制がその要因だと指摘した。その上で、成長戦略本部や総合研究推進本部の設置を含め、大学の構造改革を進めて自立した財務経営を行い、研究の自由を確保するべきだとの考えを示した。年末には、全教職員向けの学内オンライン配信で構造改革の内容を説明したという。

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