職組 運営方針会議めぐり声明発表 政財界の影響危惧
2024.11.01
運営方針会議は、昨年成立した改正国立大学法人法により、京大や東大など、規模が特に大きい5つの国立大学法人に新たに設置が義務付けられた機関。大学の予算や中期計画を決定するなどの大きな権限を持つ。
改正法は10月1日に施行されたが、京大ではまだ委員が任命されておらず、候補者も公表されていない。しかし関係者への取材により、学内委員に京大理事4名、学外委員にNTT会長やMUFG元会長など6名を任命する方針が判明している。
職員組合は声明で、委員の人選に関する具体的議論が「大学の構成員にいっさい届くことがない状態が続いていた」と指摘。9月の部局長会議で委員の人選資料が突然提示されたと明かし、それまで選定の過程や理由が一切提示されなかったことを強く抗議するとした。
また、学外委員候補6名のうち「4名が財界人」で、経団連の現副会長と元副会長が含まれているのは、「京都大学の重要な意思決定をあたかも政府と財界に委ねるもの」との疑念を示した。そして、学外委員と学内委員を同数とすることと、「経団連など財界を代表する団体」の現職役員は含めないことを求めた。
さらに、学内委員に現理事4名を充てることは、「京都大学構成員の多様性を体現しているとは言えない」として、「教員、職員、学生の代表が含められるべき」と提言した。具体的には、▼教職員の代表として、法令に則って選ばれた、各事業場の労働者の過半数の代表者を1名以上▼学生の代表として、各学部自治会、院生協議会と協議して定めた方法により選ばれた者を1名以上含めるよう求めた。
国際卓越研究大学制度との関係については、同制度の認定を受けるために「国立大学法人法に定める以上の強大な権限」が会議に与えられる点を問題視し、申請の取りやめを要求した。
本紙が声明の受け止めを尋ねたところ、京大は29日、「声明が出されたことについては認識しており、学内の関係者とは共有しております」と答えた。
細見和之・中央執行委員長は記者会見で、「経済の冷たいロジックが全面的に大学の中に浸透してきて、私たちが自治とか自由とか研究とかって考えていたものを一切凍えさせてしまう」と強い懸念を表明した。東大教職員組合執行委員長の隠岐さや香教授は、京大職組に連帯の意を表するとの声明を寄せている。