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職組 設置場所の公共性を主張 立て看板訴訟 第2回弁論

2021.12.01

立て看板の規制を巡り、京大の職員組合が京都市と京大を提訴した問題で、第2回口頭弁論が11月11日に京都地裁で開かれた。原告・組合側は立て看板が設置されていた京大周辺を、表現活動が保護されるべき公的な領域だと主張した。次回弁論は来年2月22日14時30分から行われる。

被告が立て看板の撤去は表現の自由に抵触しないと主張していることについて、今回の弁論で組合は立て看板の設置場所が「パブリックフォーラム」にあたり、表現の自由をできる限り保障するべき区域だと述べた。その根拠として、▽周辺住民が立て看板を京大周辺の景観の一部とみなしていること▽立て看板が地域社会に対して強い伝達効果を持っており、インターネット上の表現では代替できないこと▽学術的な内容を伝える立て看板は、学問を行う場である大学の存在意義に適することをあげた。組合の主張について本紙が見解を尋ねたところ、京大は「係争中の事案のためコメントは差し控える」と答えた。

京大周辺の立て看板について、京都市は屋外広告物条例に違反するとして2017年10月に京大を行政指導した。これを受け京大は2018年5月に立看板規程を施行し、組合が設置したものも含め設置基準に反する立て看板を撤去した。組合は事前通告なしの撤去に団体交渉で抗議したが、「撤去理由について大学から誠実な説明がなかった」として今年4月に提訴し、550万円の損害賠償を求めている。

傍聴席は感染症対策のため約30席に制限され、8割ほどが埋まった。弁論後に組合が開いた報告集会では、組合の副執行委員長である高山佳奈子・法学研究科教授が「タテカン文化の存在や価値を全否定するに等しい態度だ」と京大の一連の対応を批判し、「労働者として、市民としてタテカン文化を守りたい」と意気込みを示した。

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【報告集会に登壇する組合員と弁護士=新島会館】

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