神と人との距離が近かったころ「古代エジプト展 天地創造の神話」(2021.06.16)

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4月17日より、左京区にある京都市京セラ美術館で「古代エジプト展 天地創造の神話」が開かれている。この展覧会では、世界的に有名なベルリン国立博物館群のエジプト博物館より約130点が出展されており、数々の出土品を通して古代エジプトにおける神話の世界を読み解いていく。

展示は「創造と神々の世界」「ファラオと宇宙の秩序」「死後の審判」の3章構成となっている。まず初めに、古代エジプトの世界は多神教であり、太陽や月、大地といった自然から、ライオン、ワニなどの動物にいたるまで、多様な神が存在していたことが紹介される。石像や壁画に表現された神々の多くは厳かな雰囲気をまとい、かっと見開かれた目が印象的だ。その一方で、口元が柔らかな曲線を描いて慈愛的な表情を見せる神々も存在し、実に人間味あふれる神々の側面を見てとることができる。

続く第2章では、古代エジプトの王であるファラオたちをかたどった像や、王家の美術品が展示されている。等身大以上の大きさで表現されたファラオの石像は、まるで当時の絶大な権力を象徴しているようだ。迫力ある美術品の中でも、ひときわ目を引くのが紀元前14世紀ごろのアマルナ時代の作品である。この時代の石像は、アメンヘテプ4世が宗教改革を行った影響からか、前後の時代とは打って変わり非常に写実的なものが多い。中でも「ネフェルティティ王妃あるいは王女メリトアテンの頭部」の石像は、顔の凹凸が自然に表現されており、女性らしい優美さを感じさせる作品となっている。

最終章では、「死者の書」やミイラが入っていた棺の展示を通して、古代エジプト人たちの死後の世界観が解説されている。古代エジプトでは、死者は死後の審判にかけられた後、冥界の神オシリスによって死者の楽園に導かれると考えられていた。また来世での復活のためには肉体の保存が不可欠であるとされたため、ミイラ作りがさかんに行われたのだという。この生と死のプロセスは、天地創造の神話にも見てとることができる。混沌とした原初の海「ヌン」から創造神アトゥムによって創造された秩序ある世界は、いつの日かアトゥム自身によって破壊され、混沌とした原初の状態に戻る。そしてオシリス神の立ち合いのもと、再び秩序ある世界が創造されるのだ。

数多くの神が登場するエジプト神話は、非常に複雑だ。だが今回の展示では、出土品だけでなく映像による解説もいくつか用意されていて、神と人が織りなす古代エジプトの世界を気軽に楽しむことができる。開催期間は6月27日まで。開館時間は平日が9時から19時、土日が9時から20時までとなっている。(藤)

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