〈映画評〉実写版『銀魂』 一読者が表現した「銀魂」(2017.08.01)

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「銀魂」とは空知英秋による「週刊少年ジャンプ」にて連載中の漫画で、史実を下敷きにした骨太なスト―リーとパロディや過激なギャグも辞さない独特のユーモアが魅力となり人気を博した作品である。本作はその映画化作品である「劇場版 銀魂 新訳紅桜篇」を実写化したものだ。実写化が発表された当初、原作ファンから批判の声も上がったが、原作者である空知英明は、監督である福田雄一の持つ「銀魂」像を楽しむつもりで今回の話を引き受けたとコメントしている。

結論から言うと、映画は概ね原作に忠実に作られていたと言えるだろう。キャラクターの紹介や細かい世界観の説明は大幅に省かれていたため、原作を知らない観客には不親切なつくりとなっていたが、その分本編に当たる部分に力が入れられていた。原作における重要なシーンはほとんど削られず、ギャグパートとして映画オリジナルのシーンやアレンジが加えられ、見応えのあるものとなっている。

そんな中、本作は一箇所だけ話の本筋に関わる重要な部分を改変していた。それは本作において重要な場面となっている主人公と黒幕の対決のシーンだ。もともと「紅桜篇」において原作コミックでもアニメ映画のほうでも、主人公は黒幕のキャラクターと直接対決することはないままストーリーが終わる。それにも関わらず本作ではあえてこのシーンを盛り込み、クライマックスとして持ってきた。この違いはなぜ生まれたのか、映画化においてありがちな盛り上がり狙いの改変と言われてしまえばそれまでかもしれないが、私には他にも理由があるように思える。

そもそも原作コミックにて「紅桜篇」が描かれたのは今から約10年前のことで、当時、黒幕のキャラクターは主人公のかつての友人だということ以外はあくまで謎に包まれた人物という設定だった。だが連載が続くにつれ、二人の間にある複雑な関係が明らかになり、原作「紅桜篇」では果たされなかった一騎打ちも実現された。

インタビューにて福田監督は、主人公と黒幕の殺陣は、二人が互いの動きを完璧に理解していること、また相手を殺すつもりがないことを前提にした形を取っていると話していた。そういった発言から推測すると、福田監督が原作にない対決のシーンをあえて入れたのは、「紅桜篇」以降明らかになった二人の関係をも映画内で表現したかったからではないだろうか。

本作は、原作ファンからの評判が良くも悪くも両極端なことが特徴の一つだが、それは恐らく一読者としての監督の「銀魂」像が、強いこだわりを持って表現されているためであろう。また、原作ファンからの本作の評判が良くも悪くも両極端なことは興味深い。恐らくそれは一読者としての監督の「銀魂」像が、強いこだわりを持って表現されているためであろう。アニメ・漫画を愛好するオタクの用語に、「解釈違い」というものがある。自分が持つキャラクター像が、他の人のものと合致しなかった場合に用いられる言葉で、本作を嫌う原作ファンは、まさに監督と「解釈違い」を起こしているといえるだろう。監督の持つ「銀魂」像に賛同するも「解釈違い」を起こすも人それぞれだが、ファン同士で作品について語りあうのと同じ気分で、福田監督の「銀魂」を観てみるのも面白いかもしれない。(恭)

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