企画

【高校生 応援企画】いざ大学生活へ

2015.08.01

夏休みに入り、大学構内の学生の姿もまばらになった近頃。逆に目立つようになってきたのが、オープンキャンパスなどで大学を訪れる高校生の姿である。大学生活に夢と希望、それから少しの不安を抱いているだろう彼らのために、本企画では大学に通う学生の視点で大学について紹介してみたい。(編集部)

高校とどう違う?大学の講義

大学では、基本的に自分で時間割を決める。大学にはクラスがない。こういったことは高校生のときよく聞かされた話だ。大学に入るまでは、大学は高校までとは全く違った世界という印象が強かった。しかし、実際に講義を受けてみると、内容や雰囲気が意外と高校と変わらないところも結構あるものだ。大学の講義や試験について、高校までと同じところ、違うところをそれぞれ挙げてみる。

まず、比較的高校に近い点は、語学の講義に多く見られる。例えば、講義中に当てられて質問に答える、教科書を音読する、といったことが挙げられる。担当教員によっては毎回宿題が出ることもある。語学はクラスが指定されているので、同じ講義を受ける人とは比較的顔なじみになれるところも高校と似ている。

一方で高校と全く違うところもたくさんある。まず一緒に講義を受ける人数が違う。語学やゼミは比較的少人数だが、たいていの講義は広い講義室で何十人何百人もの学生が一緒に講義を受ける形式だ。しかも多くの科目でクラス指定がなく、特に全学共通科目ではあらゆる学部の学生が交ざっているので、周りは知らない人だらけ、という状態になることが多い。通常は座席指定もないので学生は各自ばらばらに着席し、教員の話をひたすら聞く。そしてひたすらメモをとる。板書もプリントもない講義、全部スライドを使って行われる講義もある。出席がとられず、期末の試験やレポートだけで評価が決まる講義も多く、そうした講義ではたいてい回を重ねるごとに出席者が減っていく。そして試験の日になると、いったいどこからこんなに湧いて出たのかと首を傾げたくなるほど学生がやってきて、講義室がいっぱいになる、ということもある。

試験は高校とはかなり違い、科目などによって形式が異なる。学期末には試験期間があるが、その期間ではなく講義時間内に試験をする科目もある。試験自体も、穴埋めや選択式の小テストから京大の入試問題のような論述式まで様々だ。試験時間も科目によって違う。途中退出ができる試験が多いのも高校までにはない特徴だ。

とにかく多種多様な講義があり、科目や教員によって規模も形式も評価方法も様々。そこが高校の授業と大学の講義のもっとも大きな違いだろう。(雪)

あきコマに何をする?

高校と大学の最大の違いの一つは、あきコマの存在だと思う。大学では履修する講義を自分で選ぶが、すべてのコマに講義が入っている人はほとんどいない。講義のないあきコマの時間には、勉強はもちろんアルバイトやサークル、睡眠、食事、はたまた観光もできる。この点、朝から夕方まで授業が続く高校生活とは大きく違うところだろう。ここでは、講義のない時間に何ができるのか、いくつか挙げてみたいと思う。なお、学部(学科)や回生によってあきコマの数は異なり、また大学付近に住んでいるか否かで過ごし方も違ってくる。その点留意していただきたい。

自習する

京大は「単位が降ってくる」とよく噂されるが、全く何もしないで単位を取ることができるケースは非常にまれである。試験勉強や課題、レポート作成など、何かしらの「勉強」は必要だろう。実際、私はあきコマではこれに一番時間を割いている。京大に数多くある図書館や図書室では自習用にも閲覧室を解放している場合がほとんどで、空調もしっかりしていて夏冬も過ごしやすい。また、自習用にも開放されている食堂や、吉田南総合館北棟一階のホールなど自習できる場所はいくつもあり、お気に入りの自習スポットを見つけてみるとよいのかもしれない。

サークルや部活へ

オーソドックスな過ごし方の一つだろう。活動場所に行って、練習や作業など、そのサークルの活動を行う。ただし、あきコマにメンバー全員の予定があうことはほぼないので、ミーティングなど一斉に集まるのは一日の講義がすべて終わってからである場合が多い。京都大学新聞社の場合、西部構内にボックス(部室のこと)があり、そこで取材の準備や記事執筆、紙面構成などを各自が空き時間に行う。また、一週間に一回、木曜日の18時30分から編集会議を行っている。

大学の外へ

あきコマの時間を大学の外で過ごすことももちろん可能だ。京都観光やラーメン・スイーツ巡り、サイクリング、買い物、鴨川のほとりでぼーっとするなどなど、なんでもできる。平日の午前中などをこうして使えるのは、大学生活ならではなのかもしれない。なお、京大新聞2014年4月16日号では一コマの時間だけで、キャンパスを飛び出して何ができるかを検証した特集を掲載した。自転車で嵐山まで行く、京阪電車で伏見稲荷に行くなどたくさんの例を紹介している。ネットでも記事は読めるので参考にして欲しい。(https://www.kyoto-up.org/archives/2006

帰宅する

大学の近くに一人暮らしをしている学生は、講義と講義の間に帰宅して、勉強したり洗濯・掃除などの家事をしたりできる。筆者は自宅が大阪にあるので一日の講義がすべて終わらないと帰宅することは難しく、その点うらやましい。(北)

高校からのカルチャーショック

蝉の声とうだるような暑さの中、ようやく初めての学期末試験を終えた。レポートに筆記試験にと大変忙しかったため、一日当たりの勉強にあてた時間は受験期を超えてしまったのではないだろうか。講義をとりすぎたこと、テスト前にバイトを入れてしまったこと、書き方がわからないからとレポートを後回しにしていたことなど、多忙だった理由の心当たりは十分にある。しかし、大学とはどういうところなのかの情報収集を、受験期から前期末に至るまでろくにしてこなかったことも大きな要因の一つだろう。テストに限らず、何も情報を持たないままに大学生活に突入してしまったため、入学直後は戸惑うことも多かった。人付き合いが苦手な人もいるだろうし、誰もが入学直後に頼れる人物に出会えるとも限らない。同じ経験をする人を少しでも減らすため、大学に入って感じた高校までとの違いを紹介してみたい。

まず大学に来てはじめに驚いたのは、キャンパスの広さである。同じ吉田キャンパス内であっても北部構内と薬学部構内で最寄り駅が違うことや、大学の住所に番地がないことからもこのことは感じられる。そのため講義を決める際には移動時間まで考慮しておかないと、講義の開始までに移動が間に合わないことになる。自転車を使えば移動時間を短縮できるが、大学では講義前後に人の移動が集中するため、事故にならないよう気を付ける必要がある。また、空いている駐輪スペースを探したり、停められた多くの自転車の中から自分のものを探したりするのに意外と時間がかかるので、このことにも留意しておきたい。

高校からすでに単位制だったという人もいるだろうが、大学の大きな特徴は、何といっても自分で時間割を組めることである。ある程度の制約はあるが、やろうと思えば文系・理系科目のどちらかだけで時間割を組むことや、特定の曜日に講義を入れずに丸一日の休みを作ることも不可能ではない。だからといって、興味のある講義やゼミを調子に乗って片っ端から入れてしまうと、期末には大量のレポートやテスト対策に追われることになるので注意が必要である。

本格的に大学生活が始まってからも、慣れないことは多い。もっとも高校時代と違うと感じるのは、時間のルーズさである。小学校から高校までしつこく言い聞かされてきた5分前行動も、大学ではあまり浸透していないようである。起立・礼もチャイムもなく、授業が始まってからも学生が出入りし続けているため、どうにもメリハリがつかなくて落ち着かない。担当教員によるところも大きいが、一般教養科目は90分未満でおわることも多いので、こちらとしては嬉しいところだ。

自分の教室がないことも大きな差である。教室がないために弁当をどこで食べればいいのかわからず、入学当初は弁当片手にあちこちをうろついたものだ。実際にはあちこちにテーブルとイスは設置されているので、慣れた今となってはあたりをさまよう必要もないのだが、弁当で荷物がかさばるのが嫌になり、今ではすっかり食堂の常連である。クラスはあるがもちろん朝礼はなく、受ける講義も人によって異なる。親睦を深めるためのクラスコンパが開かれることもあるが、頻度はクラスによってまちまちだ。

あくまでこれは個人的な例にすぎないが、多少なりとも未来の大学生たちの参考になれば幸いである。(鹿)

お昼はどうする?

大学へ来たら、その日の昼食をどうするか、毎日考えなくてはならない。そんな時、頼りになるのが食堂だ。しっかりとした食事を簡単に取れるとあって、毎日大勢の人が利用している。味の感想は読者諸氏の舌に任せるとして、ここでは食堂の仕組みや雰囲気を紹介したい。

午前の授業が終わって昼休みに入ると、食堂は学生で溢れかえる。吉田キャンパスには全部で5つの食堂があるが、学生数を考えれば決して余裕のあるものではない。場所によっては建物から外に50㍍ほど列ができていることも珍しくなく、うだるような暑さや凍えるような寒さの中順番を待たされることもしばしばだ。それでも列の流れは速いので、並んでいて午後の授業に遅れるということはまずない。

大学では皆が各自で時間割を決めるので、いつも友人と同じ授業をとっているわけではない。そのため一人で食事をとる人も少なくない。特に、昼間に空きコマがある場合は、混雑時を避けて空いている時に一人で食べる人が多いと言える。こうした状況も踏まえ、一人でも周囲の目を気にせず食事ができるよう、いわゆる「ぼっち席」が整備されているのはあまりにも有名だ。

食堂の仕組みはと言えば、基本的には一般的な食堂と変わらない。主菜や麺、丼といったコーナーから自分の食べるものを取り、会計をするだけだ。一般的な飲食店に比べれば安く食事をすることができる。平均的な男子学生なら、500円もあれば満足のいく食事がとれるだろう。またレシートには栄養価も記載されており、健康管理に役立つ。 

ところで、学食を食べる人が大多数かと言えばそうではない。食堂の列に並ぶのが嫌な時や時間のない場合は生協の売店で済ますことが多く、逆に時間にゆとりのある時は大学周辺の飲食店へ行くこともある。学食では基本的に週ごとにメニューが入れ替わるが、そう代わり映えのするものでもないので、毎日食べていては飽きるというのも正直なところだろう。味の好みや時間割、お財布と相談して、自分に合った食事のスタイルを探してほしい。(国)

関連記事