アイヌ人骨 京大で94体保管 WG調査報告 身元判明には至らず(2013.05.16)

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明治時代から戦後にかけて全国11大学が研究目的で墓地から掘り出したアイヌの遺骨が、京大で94体にのぼることが、4月19日の政府アイヌ政策推進会議作業部会で報告された。その他、全国で遺骨を保管している大学は、北海道大1027体、札幌医大249体、東京大198体、大阪大39体、東北大20体、金沢医大4体、大阪市立大1体、南山大1体などで、遺骨の合計は1633体になる。そのうち個人を特定できたのは、北海道大19体、札幌医大4体だけで、全体の約1・4%だった。

今回の報告のもととなった調査は、2008年6月6日の衆参両議院において「アイヌを先住民族とすることを求める決議」が全会一致で採択されたことを契機とする。翌09年7月29日に内閣官房長官に提出された「アイヌ政策のあり方に関する有識者懇談会」の報告書をもとに、文部科学省が主導して行なったもの。京都大学ではアイヌ人骨問題が民族差別に関わる人権問題であり、真摯に対応すべきであるという認識のもとで、2011年10月5日から理事・研究科長・教授・准教授が参加する「アイヌ人骨保管状況等ワーキング」(以下、ワーキング)を設置。調査の方法などについて検討をはじめた。その直後から、2013年2月まで大学外の専門家の協力も得て、遺骨の収納されている箱単位で調査を進め、データベースを作成した。京大ではこれまで、学内で保管されている人骨の数を「80数体」としていたが、今回の調査によって、遺骨を94体、また副葬品を55点、墓標を1点保管していることがわかった。遺骨の出土場所の内訳は、樺太栄浜村54体、真岡4体、厚岸5体、根室18体、釧路4体、網走4体、不明5体。遺骨はすべて、京都大学総合博物館に保管されている。

今回の調査では、すべての遺骨で身元が判明しなかった。政府の方針では身元の判明する遺骨は遺族に返還し、判明しなかった遺骨については国が主導して、象徴的空間に集約し、尊厳ある慰霊が可能となるよう配慮するとしている。この方針についてワーキングは「そうした要請に対する大学としての対応方針を考えるべきである」としている。

アイヌの遺骨については、「研究目的」という名の下で承諾を得ずに墓の盗掘がされたとの指摘が遺族からあり、それに関連して遺族が原告のアイヌ遺骨返還訴訟が現在行われている。政府報告書の中でも「発掘・収集時にアイヌの人々の意に関わらず収集されたものも含まれていると考えられる」とされている。今回の調査では、遺骨が大学に保管されることになった経緯を明らかにすることも期待されていた。しかし北海道大学では、「盗掘を裏付ける資料は見つからなかった」という結論を出し、盗掘の可能性を否定。収集方法に問題がなかったとする北大当局に対して、遺族や専門家から「アイヌ民族に対する差別だ」などの反発の声が上がっている。

京大で保管されているアイヌ遺骨の大半は、1920年代に元京都帝国大学医学部病理学教室淸野謙次教授によってアイヌの墓から発掘されたもの。今回調査された遺骨は、主に淸野氏の論文「古代人骨の研究に基づく日本人種論」執筆などのために用いられていた。ワーキング調査報告書では、大学が遺骨の保管に至った経緯について「研究のための収集」とだけ述べられており、京大では「盗掘かどうか」の判断を避けている。

6月には、保管の経緯などを含めた最終的な調査結果が作業部会で報告される予定。

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