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アイヌ遺骨 返還求める要望書提出 職員 話し合い拒否

2021.11.16

京大が保管を続けているアイヌ遺骨に関して、「京大・アイヌ民族遺骨問題の真相を究明し責任を追及する会」とピリカ全国実・関西は11月10日、遺骨の返還や話し合いを求める要望書を、総長と理学・文学・医学研究科長、総合博物館長宛てに提出した。「追究する会」の会員やアイヌ民族の有志約20名が京大を訪れ職員に手渡した。2団体は11月末までに要求について回答するよう求めている。

京大の調査に基づいて文科省が公表している資料によれば、京大総合博物館には医学部教授が1924年に樺太、26年に釧路市で墓を掘り返すなどして収集したアイヌ民族の遺骨87体と副葬品が収蔵されていた。うち26体に関して京大は、2018年に国が定めたガイドラインに則り、北海道白老町の国立博物館(ウポポイ)の敷地内に設けられた慰霊施設へ移管し、残りの61体は保管を続けている。

2団体は今回提出した要望書で、アイヌ遺骨及び墓から持ち出された琉球民族・奄美人の遺骨についても返還を求めるとともに、▽釧路市で収集した遺骨への面会▽87体の遺骨の収集経緯や保管状況の公開▽京大総務部がアイヌ遺骨を「人類学資料」と表現したことへの謝罪・撤回を要求した。

集まった有志は総合博物館と本部棟を訪れたが職員に入館を拒否され、それぞれ1時間ほど入口前でやりとりして要望書を提出した。その際に遺骨への面会や返還に関する話し合いを求めたところ、博物館の職員は「応じられない」趣旨の返答を繰り返した。本部の職員は「担当者ではない」として、有志の問いかけに無言のまま答えなかった。

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