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アイヌ遺骨 警察導入に抗議 改めて返還を要求

2022.12.01

アイヌ遺骨 警察導入に抗議 改めて返還を要求

申し入れをする参加者=総合博物館前

「京大・アイヌ民族遺骨問題の真相を究明し責任を追及する会」と他4団体は11月17日、総合博物館前と京大本部棟前で遺骨の返還を求める申し入れを行った。要望書のなかで、9月21日の申し入れの際、総合博物館の職員が「安全確保のため」警備に通報して警察が出動したことに対し、「安全を脅かすものではなかった」と主張。「通報は不当」と訴えた。

17日は約20名が申し入れに参加した。総合博物館前では4名の職員が対応し、参加者が9月の警察導入について抗議すると、「日常にないことが起こると連絡するよう訓練している」と述べた。文書では、警察の出動に至った経緯を明らかにし謝罪するよう求めるほか、▽琉球民族・奄美人を含めた遺骨の返還▽総務部がアイヌ遺骨を「人類学資料」と表現したことへの謝罪と撤回などを引き続き要求している。参加者は博物館前と本部棟前で、職員に要望書を手渡し「真摯に向き合ってほしい」と訴えた。12月31日までに回答するよう求めている。

京大が保管するアイヌ民族の遺骨について、京大の調査に基づいて文科省が公表している資料によれば、医学部教授が1924年に樺太、26年に釧路市で墓を掘り返すなどして87体を収集し、総合博物館に収蔵した。2019年にはうち26体を北海道白老町の「慰霊施設」へ移管し、残り61体の保管を続けている。9月に提出のあった要望書に対して大学は、「政府方針に従って対応する」旨を記した19年の文書を指し、「当該文書で回答したとおりだ」と答えるに留まったという。

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