各大学 制限緩和を模索 緊急事態宣言の解除受け
2020.06.16
新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言が5月25日に解除され、各大学は活動制限の段階的な緩和に向けた対応を模索している。京大は6月18日をめどに学内向けのマニュアルをまとめるとしている。
京都府 大学向けのガイドライン策定
大学施設の使用制限について、5月21日以降、各都道府県が順次緩和していく中、京都府は5月27日に独自のガイドラインを策定したうえで、28日に要請を解除した。京都府は各大学に対し、ガイドラインに基づいて再開に向けたマニュアルを作成するよう求めている。京大は22日時点で一部の活動制限を緩和したが、授業や課外活動への制限は継続しており、段階的な解除に向けて6月18日をめどにマニュアルを作成するという。
府が27日に発表した「大学等の再開に向けた感染症拡大予防のためのガイドライン」では、大学での授業について、帰省中の学生が一斉に戻らないよう段階的に再開することとしている。対策例として、▼対面授業を配信して遠隔参加を可能とすること▼授業内容や学部、学年ごとに開講時期をずらすことなどを挙げた。また、教室や図書館の利用に際して、消毒・検温の徹底や座席間隔の確保などの感染予防策をとるよう求めている。
府のガイドラインでは課外活動についても定めている。団体の部室は、短時間で少人数とするなどの対策を講じたうえで利用を再開することと定めているが、利用者情報の記録や消毒・検温の実施も求めており、体制の整備が各大学に求められる。京都府は予防策の経費として、1大学につき100万円を上限に助成することを決定し、5月27日に成立した補正予算に盛り込んでいる。また、スポーツ庁が5月25日に「社会体育施設の再開に向けた感染拡大予防ガイドライン」を発表し、屋外の活動にも同様の対応を定めており、文化系・体育系いずれの団体も入念な対策が求められる。
京大は4月1日以降、西部構内の課外活動棟や体育館などすべての課外活動施設を原則使用停止としており、6月15日時点で措置の解除には至っていない。対面授業の全面的な再開の見通しが立たない中、大学は課外活動の自粛要請について「授業に先立っての解除は予定していない」との見解を示している。措置の解除にあたって大学は、各団体の活動形態や建物ごとの特徴に即した感染予防策に加え、団体間の公平性などを考慮してその可否を判断すると見られ、施設を利用する団体の対応が求められる。学生側の動きとしては、多くの団体が対面での活動を停止し、オンラインツールを用いて活動している。また、施設利用の再開に向けた道筋や再開後の感染症対策について、各施設の使用団体からなる組織や体育会がそれぞれ議論を進めている。
各大学 対応分かれる
緊急事態措置の緩和に伴い、6月1日以降、対面授業や課外活動の再開を巡って各大学が様々な対応をとっている。京都府内では、京都教育大学が6月2日から対面授業を再開した。感染症対策として各建物の入口に消毒液を設置するほか、毎朝、授業開始前に業者による机などの消毒を実施するという。また、教員や学生に検温して記録するよう求め、教室での座席は試験時と同様の間隔を空けることとしている。課外活動については、感染予防策を届け出た団体に限って再開を認め、活動の参加者などを記録するよう求めている。京都府立大学では、授業は原則としてオンライン形式を継続し、課外活動については、感染予防策を含む活動計画書を提出して大学に承認された団体のみが再開可能となるという。一方、京都工芸繊維大学は、オンライン授業の継続とともに課外活動の禁止の延長を発表した。
府外では東京大学が6月15日、学内の活動制限をレベル1に引き下げると発表した。今後、感染の拡大が見られなければ、2週間後にレベル0.5へ制限を緩和するという。レベル0.5では、オンライン授業を中心としつつ対面授業を制限付きで解禁し、一部の課外活動を認めるとしている。また、大阪大学は6月1日以降、延期が困難な実習を中心に対面授業を再開しており、消毒や換気のほか、昼食時の混雑を和らげるために午後の時間割を30分ずつ後ろ倒しするなどの対策をとっている。主な大学の6月以降の対応は以下の通り。
京都府内の主な大学
京都府外の主な国立大学
6月16日13時30分配信
京都府 大学向けのガイドライン策定
大学施設の使用制限について、5月21日以降、各都道府県が順次緩和していく中、京都府は5月27日に独自のガイドラインを策定したうえで、28日に要請を解除した。京都府は各大学に対し、ガイドラインに基づいて再開に向けたマニュアルを作成するよう求めている。京大は22日時点で一部の活動制限を緩和したが、授業や課外活動への制限は継続しており、段階的な解除に向けて6月18日をめどにマニュアルを作成するという。
府が27日に発表した「大学等の再開に向けた感染症拡大予防のためのガイドライン」では、大学での授業について、帰省中の学生が一斉に戻らないよう段階的に再開することとしている。対策例として、▼対面授業を配信して遠隔参加を可能とすること▼授業内容や学部、学年ごとに開講時期をずらすことなどを挙げた。また、教室や図書館の利用に際して、消毒・検温の徹底や座席間隔の確保などの感染予防策をとるよう求めている。
府のガイドラインでは課外活動についても定めている。団体の部室は、短時間で少人数とするなどの対策を講じたうえで利用を再開することと定めているが、利用者情報の記録や消毒・検温の実施も求めており、体制の整備が各大学に求められる。京都府は予防策の経費として、1大学につき100万円を上限に助成することを決定し、5月27日に成立した補正予算に盛り込んでいる。また、スポーツ庁が5月25日に「社会体育施設の再開に向けた感染拡大予防ガイドライン」を発表し、屋外の活動にも同様の対応を定めており、文化系・体育系いずれの団体も入念な対策が求められる。
京大は4月1日以降、西部構内の課外活動棟や体育館などすべての課外活動施設を原則使用停止としており、6月15日時点で措置の解除には至っていない。対面授業の全面的な再開の見通しが立たない中、大学は課外活動の自粛要請について「授業に先立っての解除は予定していない」との見解を示している。措置の解除にあたって大学は、各団体の活動形態や建物ごとの特徴に即した感染予防策に加え、団体間の公平性などを考慮してその可否を判断すると見られ、施設を利用する団体の対応が求められる。学生側の動きとしては、多くの団体が対面での活動を停止し、オンラインツールを用いて活動している。また、施設利用の再開に向けた道筋や再開後の感染症対策について、各施設の使用団体からなる組織や体育会がそれぞれ議論を進めている。
各大学 対応分かれる
緊急事態措置の緩和に伴い、6月1日以降、対面授業や課外活動の再開を巡って各大学が様々な対応をとっている。京都府内では、京都教育大学が6月2日から対面授業を再開した。感染症対策として各建物の入口に消毒液を設置するほか、毎朝、授業開始前に業者による机などの消毒を実施するという。また、教員や学生に検温して記録するよう求め、教室での座席は試験時と同様の間隔を空けることとしている。課外活動については、感染予防策を届け出た団体に限って再開を認め、活動の参加者などを記録するよう求めている。京都府立大学では、授業は原則としてオンライン形式を継続し、課外活動については、感染予防策を含む活動計画書を提出して大学に承認された団体のみが再開可能となるという。一方、京都工芸繊維大学は、オンライン授業の継続とともに課外活動の禁止の延長を発表した。
府外では東京大学が6月15日、学内の活動制限をレベル1に引き下げると発表した。今後、感染の拡大が見られなければ、2週間後にレベル0.5へ制限を緩和するという。レベル0.5では、オンライン授業を中心としつつ対面授業を制限付きで解禁し、一部の課外活動を認めるとしている。また、大阪大学は6月1日以降、延期が困難な実習を中心に対面授業を再開しており、消毒や換気のほか、昼食時の混雑を和らげるために午後の時間割を30分ずつ後ろ倒しするなどの対策をとっている。主な大学の6月以降の対応は以下の通り。
京都府内の主な大学
授業 | 課外活動 | |
京都教育大 | 対策を講じたうえで対面形式を開始 | 対策を届け出て認められた団体のみ再開 |
京都工芸繊維大 | 遠隔形式を継続 | 対面授業の再開まで全面停止 |
京都府立大 | 4回生以上に限り、実習や研究指導などを許可制で実施 | 活動計画書を提出して承認された団体のみ再開 |
大谷大 | 遠隔形式を継続 | 全面停止を継続 |
京都産業大 | 遠隔形式を継続 | 9月20日まで全面停止 |
同志社大 | 春学期(〜9月20日)は原則遠隔で実施 | 対面停止を継続、オンライン活動の指針を策定 |
立命館大 | 実験など一部科目は対面で実施 | 大学が認めた団体のみ制限付きで再開 |
京都府外の主な国立大学
授業 | 課外活動 | |
北海道大 | 実験など一部の科目は対面で実施 | 全面停止を継続 |
東北大 | 遠隔形式を継続 | 全面停止を継続 |
東京大 | 早ければ6月末に実習など一部の科目は対面で実施 | 早ければ6月末に一部の活動を認める |
信州大 | 前期の講義は遠隔のみ、一部の科目は対面で実施 | 対策を徹底したうえで再開 |
名古屋大 | 制限付きで実験などを対面で実施 | 屋外の個人練習のみ可 |
滋賀大 | 遠隔形式を継続 | 対策を届け出て認められた団体のみ再開 |
和歌山大 | 6月25日以降、実験など一部の科目は対面で実施 | 全面停止を継続 |
大阪大 | 実習や大学院の少人数科目など一部の科目は対面で実施 | 入構制限の全面解禁まで停止を継続 |
神戸大 | 遠隔形式を継続 | 全面停止を継続 |
高知大 | 講義は遠隔、一部の実験などを対面で実施 | 直近に大会がある屋外の団体のみ認める |
岡山大 | 一部の科目は対面で実施 | 7月1日から一部の活動を認める |
広島大 | 実験など一部の科目は対面で実施 | 全面停止を継続 |
九州大 | 6月24日まで研究指導以外は遠隔形式、25日以降に制限を緩和 | 全面停止を継続 |
琉球大 | 遠隔形式を継続 | 届け出たうえで再開 |
6月16日13時30分配信