ニュース

京大 5月6日まで原則休講 新型コロナ 収束の見通し立たず

2020.04.10

新型コロナウイルス(COVID-19)の流行を受け、京大は4月1日、原則すべての授業を5月6日まで休講すると発表したほか、学内団体に対し課外活動を全面的に自粛するよう要請した。京都産業大学の学生の間で集団感染が確認されるなど京大近辺でも感染が広がっており、収束する見通しは立っていない。

一部の学部はオンラインで開講

感染拡大を受けて京大は4月1日、公式ホームページ上で、原則すべての授業を5月6日まで休講すると発表した。ただし一部の学部・院の専門科目では、オンライン授業を取り入れて当初の日程で開講している。対応の詳細は各部局が該当する学生に通知するという。感染拡大の状況次第では対面授業の開始をさらに遅らせる可能性もあり、京大は4月30日までに判断するとしている。

全学共通科目は、すべての授業が休講となる。4月2日、国際高等教育院が京都大学教務情報システム(KULASIS)で方針を発表し、開講後は対面形式を目指すとしたうえで状況次第ではオンラインで実施すると説明し、4月中にインターネット環境を準備するよう学生に求めた。

専門科目では、医学部医学科が4月6日、工学部の一部の学科が4月8日からすでにオンラインで授業を開始している。オンライン学習として、京大学習支援システム(PandA)を通して教材を配布するほか、Web会議システムZoomで講義を配信する。その他の学部では5月6日まで原則休講となる。文学部や経済学部などはすべての科目を休講とし、薬学部は一部科目で休講期間中にオンラインで課題を提供するとしている。5月7日以降の形式については、複数の学部が開講後も当面の間は対面での授業を実施せず、オンラインシステムを活用する可能性が高いとの見通しをKULASISで示した。

授業日程に関して京大は、3月26日時点で予定通り4月8日から開講すると表明していた。しかし、3月28日以降に京都産業大学の学生の間で相次いで感染が確認されたことなどを受け、「緊迫した状況が生じている」と判断し、方針を変更するに至った。なお5月以降の状況は不透明で、各部局はオンライン学習の詳細とあわせてKULASISで最新の情報を確認するよう呼びかけている。

京大 課外活動の停止を要請

3月31日、川添信介・学生担当理事は文書を発表し、当面の間、「公認・非公認を問わず学内外でのすべての課外活動を自粛するように強く要請する」としたほか、課外活動で利用される学内の施設を原則使用停止とすると発表した。グラウンドや体育館、西部課外活動棟、吉田南4号館(4共)などが対象となっており、予約制の施設では4月1日から再開決定までの間、すべての受付を停止する。部室にやむを得ず立ち入る場合は、マスクの着用などの感染症対策に努めることとしている。

今回の文書で川添理事は、課外活動の自粛に伴い新歓活動にも言及し、学内外でビラの配布や飲食を含む対面での勧誘を「絶対に控えて」と求めた。3月16日には新歓活動の見直しを求める文書を出していたが、今回、対面での授業を全面的に延期する授業方針とあわせる形で、課外活動にもより具体的な要請を出すに至った。これを受け多くの団体が活動停止や新歓イベントの中止に踏み切り、新歓活動はSNSでの活動紹介などにとどめている。

西団連 緊急時の対応に課題

使用停止の対象となっている西部課外活動棟は、公認団体の部室や倉庫、予約制の共用室などを収容している建物だ。その運営は、施設を使用する61の団体が西部課外活動施設使用団体連絡協議会(西団連)を組織して共用スペースの予約の管理や調整などを行っている。

3月以降、京都市内で連日感染者が確認される中、西団連の執行機関である幹事会の会議が23日に、共用室の使用者による会議が24日に開催された。いずれも定例のもので、短時間で済ませる、座席の間隔をあけるなどの対応こそとられたものの、議題として西団連全体に関する感染症対策が十分に議論されることはなかった。共用のスペースについて組織として特段の方針が設けられることのないまま、3月31日、京大が課外活動の自粛を要請し、課外活動施設を原則使用停止とするに至った。各団体内では、マスクの着用や部屋の換気など感染症対策を実施してきたほか、追い出しコンパや合宿の中止、活動の縮小などを決断していたが、刻々と状況が変化する中で、西団連全体としての意思決定には結び付かず、緊急時の対応に課題を残す形となった。

4月4日、今期の幹事長団体である11月祭事務局が西団連加盟団体に対し、団体内で感染者が出た場合は速やかに報告するよう呼びかけた。11月祭事務局によると、9日時点で関係者の感染は確認されていないという。

山極総長「支援体制を強化」

感染症対策について京大はホームページで方針を発表し、在学生や教職員に海外渡航の自粛を求めている。3月27日、方針を第7版に更新し、渡航自粛の対象地域をそれまでの中国など指定の国から全世界へと拡大した。また、4月3日には山極壽一総長のメッセージ動画を公開した。山極総長は学生に対し、「感染拡大を招きうる行動を執らないことを強くお願いする」と呼びかけたほか、安全に教育を継続するためにオンラインでの学習を提供すると説明し、導入に向けて「学内の支援体制を強化する」と表明した。

このほか、4月7日に予定されていた入学式が中止となり、同日、山極総長による入学者への祝辞が公式ホームページ上で配信された。

京大近辺でも感染広がる

新型コロナウイルスは風邪の原因となるウイルスの一種で、発熱やのどの痛み、強いだるさなどの症状を引き起こす。重症化すると肺炎となり、死亡例も確認されている。感染から発症までの潜伏期間が長いうえに無症状者からも感染する特性があり、治療法の確立が追い付いていないことも相まって世界中で感染拡大が続いている。厚生労働省によると、日本国内での感染者は4月9日時点で4768人、死亡者は85人となっており、4月7日には日本政府が緊急事態宣言を発令した。また、京都産業大学の学生の間で集団感染が確認され、京産大によると4月4日時点で35人の学生が感染したという。このほか、銀閣寺付近のうどん店など京大近辺でも感染が広がっている。

4月10日11時配信

関連記事