空手同好会 全国大会一般の部 30年ぶり出場 主将・顧問にインタビュー
2025.02.16

京都選手権と全関西空手道選手権のメダルをかける金森さん(=総合体育館)
「同期への憧れ」で稽古に励む(金森さん)
空手を始めたきっかけは、幼稚園のとき近所の空手道場に入ったことだ。その後すぐ東京に引っ越して極真会館城西支部に移った。日本のトップクラスの選手が多く所属する環境に刺激を受け、少年部の試合に何度も出場していた。小学6年生で膝に怪我を負ったことも原因となり、中学に入るときに他の部活動に入り空手から遠ざかった。
大学入学後、もう一度やってみようと空手同好会の新歓を訪ねた。同好会では基本稽古や組手、型の練習を週2回行うほか、練習後や休日に吉田山での走り込みやミット打ちなどの自主練習に取り組む。また、水曜日には大阪の本部道場に出向き、上級者と組手の稽古も行っている。厳しい稽古に打ち込む根底には、東京時代の同期が世界大会で活躍する姿への憧れがあると金森さんは話す。学業と空手を両立するために、試験期間や大会の時期にあわせて、集中する対象を切り替えているという。
4月の全関西空手道選手権チャレンジクラスで優勝し、12月の全日本選手権に2回戦シードで出場した。山敷教授によると、京大の学生が全日本選手権一般の部に出場したのは30年ぶり2人目。2分間の本戦で金森さんは果敢に攻撃を行い、中段蹴りや膝蹴りで相手をコーナーまで何度も追い詰めた。終盤には後ろ回し蹴りを繰り出し一本旗は上がったが判定は引き分け。延長戦でひるまずに戦うも、結果は判定負けとなった。金森さんは多くの方に支えられて出場できたと感謝を述べるも、「勝たなきゃ意味がない」ときっぱり。山敷教授によると、金森さんは本部道場の師範から優位に試合を進めていたと評価されていた。対戦相手が3位入賞をしたことを踏まえ「トロフィーを持たせてあげたかった」と悔しさをにじませた。
空手同好会とは(山敷顧問)
学生時代に空手同好会に在籍し、現在は顧問を務める山敷教授に同好会の歴史や現在の様子を伺った。
京大には体育会の空手道部と空手同好会がある。体育会の空手道部は伝統派に所属する一方、空手同好会はフルコンタクト空手の正道会館に所属しており、今年設立46年を迎えた。
以前は主に男性会員が参加しており、組手の厳しい稽古が中心だった。過酷な練習内容からか、20名ほど入会しても結局4、5名程度しか残らなかった。さらにコロナ禍では対面練習ができず廃部寸前となった。
2017年頃から留学生の参加者が増加し、今では20名ほどの会員のうち約半数を占める。日本の伝統的な武道を学びたいとやってくる学生が多い。また、女性会員も増え、積極的に組み手の稽古に励む気概を持っているという。構成員の変化を受け、伝統派の型を取り入れるなど稽古内容を見直した。初心者でも取り組みやすい工夫を行っており、稽古中には英語で説明し留学生にコツを伝える場面もあった。
教授は18年から、同好会の指導を本格的に行っている。個人技である空手では、集団練習の場で受ける刺激が大切だとして、主将の金森さんが他の会員の良い見本になっていると評価する。「50周年に向け、強くなりたいと願う人を育てる環境であり続けたい」と意気込んだ。