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国の学生支援給付金 京大は留学生も成績問わず申請可

2020.06.16

新型コロナウイルスの影響を受けた学生に政府が支給する「学生支援緊急給付金」を巡り、京大は6月2日、留学生も成績や出席率にかかわらず申請を受け付けると発表した。文科省は留学生について、成績や出席率を要件に定めたうえで、各大学に給付の判断を委ねていた。京大は6月10日まで申請を受け付けた。

文科省は5月19日、「学生支援緊急給付金」を創設し、感染拡大の影響でアルバイト収入が減少した学生に10万円を給付すると発表した。要件として学費や生活費に占めるアルバイト収入の割合が高いことなど5つの目安を定め、留学生には、これに加えて成績や出席率の基準を設けた。文科省は、基準をふまえつつ最終的には各大学が個々の学生の事情を考慮して判断することとしていた。

留学生限定の要件について萩生田光一・文部科学大臣は5月22日の会見で、「限られた財政の中で、学びの意欲と継続性のある人ということで、日本学生支援機構の(既存の奨学金の)基準を引用した」と説明した。文科省の発表を受け5月26日、山極壽一総長ら22大学38名の教員が連名で声明を発表し、「給付は困窮状態の学生の生命の救済に関わる」として、「救済の手を差し伸べるのに国籍で区別するのは考えられない」と批判した。また、関東弁護士会連合会が6月4日に声明を発表し、要件を見直すよう文科省に求めた。留学生への支給の審査について京大は、本紙の取材に対し「関係書類の提出を求めておらず、審査の中で成績要件を用いていない」と回答した。

なお、聴講生などのいわゆる「非正規生」は留学生・日本人問わず対象外となっている。特に留学生に関しては、大学院入試の準備や交換留学などの事情で研究生や特別聴講学生として在籍する学生も少なくない。京大では、昨年約2700名の留学生を受け入れており、そのうち約500名が「非正規生」にあたるという。

京大は6月19日までに、大学ごとに定められた予算枠の範囲内で給付対象者を選定した。今後、日本学生支援機構が給付の可否を最終決定し、該当者の口座に振り込むという。なお、申請方法について文科省は、LINEによる受付も手配していたが、京大は郵送か持参のみとした。また、京大はこれと別で独自の給付金を支給することを決定しており、6月29日に申請手続きの詳細を発表した。

6月16日13時30分配信
7月1日1時30分更新

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