京大 授業料免除 追加受け付け 新型コロナ 各大学で対応模索(2020.05.01)

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新型コロナウイルスの感染拡大を受け、京大は4月30日、今年度前期の授業料免除について、5月25日まで追加申請を受け付けると発表した。今春の申請は4月5日に締め切っていたが、国の新制度に基づく給付奨学金の対象が拡大されたため、それと連動して運営する免除の枠を追加することを決めた。あわせて、授業料の納付期限を8月下旬まで延長すると発表した。このほか各大学が臨時給付金など様々な学生支援策を講じている。

国の新制度に基づく奨学金 対象拡大

収入が激減した学生は、国の新制度に基づいて給付奨学金を受けられる可能性がある。日本学生支援機構が、今年4月から始まった国の新制度に基づく給付奨学金について、新型コロナウイルスの影響を受けた学生を「家計急変」枠での給付対象に加えると発表し、申請を受け付けている。

申請の基準として世帯年収の上限額が設定されており、高校生を含む4人家族の場合は460万円以下が目安となる。支給額は家計急変後の収入に応じた3つの区分で段差がつけられている。自宅外から通う国立大学生の例では、住民税非課税世帯に相当すると認められれば月6万6700円が給付され、このほか収入に応じて4万4500円、2万2300円の区分がある。今回「家計急変」枠での給付が認められた学生については、支給開始から3カ月間は非課税世帯の基準額で算出され、それ以降は見込みの世帯年収に基づいて各区分の適用が判断される。

「家計急変」枠はこれまで、震災や火災などで世帯収入が激減した学生を対象としていたが、日本学生支援機構は今回、新型コロナウイルス感染拡大に伴う家計の急変を制度の対象に加えることを決めた。加えて、迅速に給付を開始するため運用を見直し、申請日を給付の開始日とみなしてその月の分から給付することとした。「家計急変」枠での給付金の申し込みは年間を通して受け付けているため、随時申請できる。詳細の問い合わせや申請は各大学で受け付けており、京大では学生課奨学掛が窓口となっている。

また、給付奨学金の申請が認められれば、授業料減免も受けることができる。減免は今年度から国の新制度と連動する形で各大学が実施しており、給付奨学金と同じ基準で減免の可否が決まる。京大は4月30日、「家計急変」枠の奨学金に伴う授業料免除の追加申請を5月25日まで受け付けると発表した。通常時の申し込みと異なりWebサイトでの一次申請は不要で、家計の急変を示す書類などを奨学掛に郵送すれば手続き完了となる。

加えて京大は4月30日、大学院生の授業料免除を新たに5月25日まで受け付けると発表した。国の枠組みに基づく授業料免除は学部学生を対象としており、大学院生は対象に含まれないため、京大は院生など新制度の対象外となる学生に対して従来の減免を適用して補填すると表明していた。今年度前期の減免は4月5日に申請を締め切っていたが、今回、感染拡大の影響を受けた学生を対象に追加の受け付けを決定した。

通常枠の奨学金 受付延長

国の新制度に基づく給付奨学金について京大は4月28日、通常の枠組みでの募集期限を6月10日まで延長すると発表した。昨年度の住民税の情報をもとに給付の可否が判断され、支給額や収入の目安は「家計急変」枠と同じ基準が用いられる。

通年で受け付ける「家計急変」枠と異なり、通常枠での申請は例年、春と秋のみ受け付けており、今春の京大では4月10日に締め切っていた。しかし、文科省が特例として6月末まで申請を受け付ける方針を決定し、4月27日に各大学へ通知した。これを受け京大は、申請用書類の配布方法を手渡しからメール申し込みによる郵送に変更したうえで、受け取り申請の期限を6月10日に延長した。

延長に伴い、書類の提出期限と支給開始の時期も変更している。当初の日程ですでに手続きを済ませた学生は6月11日に初回分の給付金が振り込まれる。今回の延長を受けて5月12日までに書類を提出した学生は7月10日に、最終期限の6月16日までに提出すれば8月11日に、それぞれ初回分が振り込まれる。 申請のメールや問い合わせは京大の奨学掛が受け付けている。なお、貸与奨学金についても同様に申請期限を延長している。

京大 授業料納付 8月下旬まで延期


4月30日、京大は今年度前期の授業料について、5月末としていた納付期限を8月下旬まで延長すると発表した。他大学の例では、東京大が5月27日を納付期日としていたが7月27日まで延長し、京都府立大は例年4月末までとしているが5月27日に変更した。このほか、名古屋市立大や福井大も延長を決定している。

授業料を巡っては、納付延期にとどまらず減額を求める声も上がっている。京都芸術大(旧京都造形芸術大)は4月23日、授業料のうち施設・設備費の一部を返金すると発表した。学科や専攻ごとに、使用面積に応じた各月の金額を算出して返金する。感染拡大の防止のため、4月13日から5月6日まで大学構内への立ち入りを禁止しており、「創作活動に不便をかける」として返金を決定したという。入構制限の期間分が対象で、4・5月の返金額は最も多い学科で4万6千円となっている。

各大学 生活支援策講じる

感染拡大により学生の生活にも大きな制約が生じる中、各大学で、全学生が影響を受ける面への補填と、著しく経済状況が悪化している学生への重点的な支援がともに急務となっており、様々な策を講じている。

対面授業の停止や施設の利用制限、オンライン授業に向けた準備などは、所属学生が共通で直面する課題となっている。これをふまえた一律での支援策として、授業料の減額や納付期限の延期のほか、一部の大学は独自の給付金を支給すると発表した。獨協大が10万円、京都産業大や神奈川大などが5万円を全学生に給付するという 。

こうした全学生を対象とする支援の一方、自治体からの休業要請の影響でアルバイト勤務がなくなったり親の収入が減ったりした学生を対象に、重点的な支援策を講じる大学もある。

東北大ではアルバイト勤務がなくなった学生に対し、学内業務の補助を募集して労働機会を提供するほか、独自の給付型奨学金を支給する。給付金の金額や支給時期は各申請者の事情をふまえて決定するとしている。

このほか、経済状況が悪化した学生を対象に、早稲田大が10万円、広島大が月3万円を給付すると発表している。また、立命館大は一律で3万円を支給したうえで、家計が急変した学生に対してさらに月3万円を3カ月間給付するという。なお、京大は臨時の生活支援策について、本紙の取材に対し5月1日、「現時点でお答えすることはない」と回答した。

学生の生活支援を巡っては、京大の教員と学生有志が4月28日、経済的な支援を実施するよう京大に求める署名運動を立ち上げた。3日間で290名の署名が集まり、5月1日、第一次集約分として大学に提出した。1日には、当初挙げていた要望のうち前期授業料の徴収延期と免除の追加は実現されたが、このほか有志は一律給付金の支給や後期の授業料免除枠の拡大などを要望しており、「引き続き署名を通して働きかけていく」と表明した。また、京大では災害の影響を受けた学生に臨時給付金を支給する制度があり、これついて有志は感染拡大で家計が急変した学生を対象に加えるよう求めている。

附属図書館 一部業務再開へ


京都大学図書館機構は4月27日、附属図書館の業務を5月8日から限定的に再開することを発表した。附属図書館では4月25日以降全サービスが停止されていたが、オンライン授業が5月7日に開始されることを受け、一部業務の再開が決定された。自動貸出機での貸出のほか、他図書館の文献複写、図書の取り寄せなどができるようになる。

京都大学図書館機構は新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、4月9日から5月7日までの間、附属図書館を閉館することを発表していた。20日までは事前申し込みによる貸出や他の図書館からの文献複写・図書の取り寄せなど一部業務が行われていたが、京大の「新型コロナウイルス感染拡大防止に伴う活動制限のガイドライン」における対応レベルが引き上げられたことを受け、4月25日から5月7日まで、事前申し込みによる貸出などを含む全サービスの停止が発表されていた。

附属図書館では来館の機会を減らすため、返却期限が4月15日から5月8日の資料に関しては、期限を1ヵ月延長する措置が取られている。資料は郵送で返却することも可能だ。

PCR検査 無症状でも保険適用を 京大病院など声明


感染拡大を受け、4月15日、京大医学部附属病院と京都府立医科大附属病院が共同声明を発表し、手術や救急医療を施す患者には無症状でもPCR検査を実施できるよう保険適用の拡大を求めた。院内感染が広がれば医療機能の停止に陥ると訴え、声明の内容に基づく要望書を京都府と厚生労働省に提出した。15日に両病院の院長らが会見を開き、「賛同する医療機関は声を上げてほしい」と呼びかけた。他の医療団体が同様の声明を出すなど、公費負担を求める声が高まっている。

「無制限の拡大を推奨するわけではない」水際対策に注力求める

声明で両病院は、感染に気づかずに治療した場合、患者本人の致死率が高まるうえ、院内感染により通常医療の停止を余儀なくされると説明し、感染を調べるPCR検査によるふるい分けの重要性を訴えた。両病院は院内でのPCR検査の実施を認められているため、自衛策として、内部で調整すれば無症状者の検査枠を用意することは可能だ。他の病院でも、民間業者に外注すれば無症状者用の検査数を確保できる。しかし現状では、どちらの方法でも症状がなければ保険は適用されないため、1人につき約2万円を病院が負担する必要があるという。

感染拡大が深刻な地域の一部の病院では、病院側が費用を負担してふるい分け目的の検査に踏み切っているが、すべての病院が追随できる状況ではない。仮に、全身麻酔を必要とする手術を控える無症状者に絞って実施するとしても、京大病院では1週間で約120件に上り、膨大な検査費用となるという。会見で京大病院の宮本亨院長は「治療するたびに病院の財政が悪化することになる」と述べた。こうした状況をふまえ、公費での負担を求めている。

PCR検査は、資材の輸入量など様々な事情で検査件数に限りがある状況となっている。これをふまえ、声明では「無制限に検査拡大を推奨するわけではない」としている。府立医大病院の夜久均院長は、すべての入院患者に実施すれば上限に達すると説明し、拡大の範囲について、粘膜に触れる気管の手術や内視鏡手術のほか、過呼吸を伴う分娩など特に感染の危険性の高い手術や救急医療を施す患者に保険を適用し、段階的に他の入院患者へ広げていくことを提案した。

一方で、両病院は「保険適用の範囲が症状のある者に限定されているために、上限いっぱいまで検査されていない」と指摘した。流行の初期段階で政府は、重症患者への注力のために保険適用の基準を設けて検査数を絞っていた側面があった。これについて夜久院長は、「病床が整っていない状態で急激に患者が来ると医療崩壊につながるので、それを防ぐ意義があった」と理解を示しつつ、「今は症状のない人が知らず知らず通常の診療に訪れる段階に入っている」と危機感を示した。院内でのふるい分けの必要性が高まる状況で、保健所を介さずに病院が直接民間の検査業者と契約することを認めるなど検査数を増やす動きがあるものの、3月初旬から変わらない保険適用の基準が足かせとなり、依然として件数は伸び悩んでいる。こうした事情をふまえ、両病院は声明発表時のデータをもとに、国内全体で約1万2千件の上限に対して実際には7千件ほどの実施にとどまっていると指摘し、限られた余剰分を病院での水際対策にまわせるよう保険適用の範囲の再考を訴えた。

国内の病院で院内感染が相次いで報告されていることを受け、今回、感染者を受け入れる両病院が危機感を共有し、声明を発表した。両病院は声明に基づく要望書を作成し、府立医大病院が13日に京都府知事へ、京大病院が15日に厚生労働省へ提出した。今回の声明について宮本院長は「臨床現場からの悲鳴だ」と述べ、賛同する関係団体に声を上げるよう呼びかけた。4月20日には全国の大学病院の院長らからなる「全国医学部長病院長会議」が同様の声明を出すなど、公費負担を求める声が高まっている。

各所からの要望を受け加藤勝信・厚生労働大臣は4月24日の衆議院の厚生労働委員会で、無症状者への検査について「保険適用はあり得る」と述べ、適用範囲の検討を進めていると説明した。また、京都府の西脇隆俊知事は4月28日の会見で、緊急手術などに際して病院が自主的に実施するPCR検査の費用を助成すると表明し、5月1日には、妊婦を対象に、保険が適用されない検査の費用として一人当たり2万円を府が負担すると発表した。

医療資材の不足も深刻化

このほか両病院は4月15日の声明で、PCR検査に必要な試薬や防護服、マスクの確保を要望した。マスクを巡っては、4月10日、厚生労働省が都道府県を通して各医療機関に対し、通常は使い捨てるN95マスクを滅菌して再利用するよう通達している。両病院は「ウイルスを防げるか心もとない」と訴え、国内の各種業者に向け、至急増産するよう呼びかけた。

さらに、13日に提出した要望書では京都府に対し、医療資材の一元管理を求めた。これを受け京都府は14日、「医療資材コントロールセンター」を開設した。府が各機関の情報を集約することで、資材を効率的に調達し、病院間で調整できるという。これについて夜久病院長は15日の会見で「日本でも先駆けの取組み」と評価し、「今後、機能することを期待する」と述べた。

新型コロナウイルスは風邪の原因となるウイルスの一種で、発熱やのどの痛み、強いだるさなどの症状を引き起こす。重症化すると肺炎となり、死亡例も確認されている。感染から発症までの潜伏期間が長いうえに無症状者からも感染する特性があり、治療法の確立が追い付いていないことも相まって世界中で感染が拡大した。厚生労働省によると、5月3日時点で日本国内の感染者は1万4839人で、うち4385人がすでに退院しており、死者は492人となっている。

5月4日8時配信

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