文化

Campus Pond 「堀田池」

2008.08.08

京大は生態系の宝庫である。変化に富んだ自然環境が見せる一コマを、池という形で紹介する。

吉田南2号館の横、シュロの生い茂った中にひっそりと池が存在する。その名は「堀田池」。人間・環境学研究科の松井正文教授によると、この池は植物学の研究で知られる堀田満教授が1972年ごろ生物学実習で利用するプランクトンを採集するために造成したという。つまり、「堀田先生が掘った池」というわけだ。

土をえぐった部分にシートを被せ、その上にまた土を被せた状態で水を流し込んでいる。魚はいない。池の周囲にはプランクトン採集用の甕やバスタブを見ることができる。

堀田池では、農水省のレッドリストに記載されているカスミサンショウウオの保護と研究をしている。95年ごろに松井教授が伏見の放棄水田からカスミサンショウウオを持ち込んでからは、松井研の院生が交代で池の中のカスミサンショウウオの個体を捕まえては記録するのを続けてきた。個体の識別はICチップで行われている。現在では、カスミサンショウウオの移植に成功したモデルケースとして九州大学のキャンパス移転の際にも成果が役立った。(如)